十六歳の畑谷航太は、八年前に失踪した母を「人魚だった」と妄信する父から逃れるため、孤島の学術特区・亀島にある全寮制の海洋学校〈海高院〉へ入学する。
四つの自治寮、人魚の観察と研究、訓練艇での海上実習……。
幼馴染の玲奈やイアン、個性豊かな先輩たちに囲まれた学生生活は、航太にとって初めて手にした楽園だった。
逃げるために選んだはずの島は、いつしか、かけがえのない居場所になっていく。
しかし父の死後、八年前に姿を消した母から、一通の手紙が届く。
「航太、出会えてよかった。私を恨んでいいよ。」
さらに夏の終わり、航太は島の岩場で、記憶を失った赤毛の少女と出会う。
少女が覚えていたのは、航太の母――「美南」の名前だけだった。
航太は彼女を「茜」と名づけ、母の手がかりを求めて密かに匿う。
だが、茜を捜している者たちが、島のどこかで動き始めていた。
母はどこへ消えたのか。
茜は何者なのか。
そして――この世界に「人魚姫」は、本当にいないのか。
母の秘密を追うことは、やがて航太自身が、なぜここにいるのかを問うことへ変わっていく。
人魚を研究する海の学校を舞台に、少年たちの眩しい学生生活と、ひとつのおとぎ話の真相をめぐる青春海洋ファンタジー。
・『人魚姫』や昔話・寓話を現代的に読み替えた物語が好き
・学校や寮、研究機関など、作り込まれた世界で暮らす感覚が好き
・友情、家族、恋愛が入り混じる濃い人間関係を楽しみたい
・人外と人間の境界、生命倫理をめぐる物語に惹かれる
・謎が少しずつつながっていく長編が好き
★10万字程度(物語の約半分)の試し読みを設置予定です →10月10日(土)~12日(月)の三連休で、分割して掲載予定
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