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MEMENTO MORI ー湖畔のヴァイオリンー

  • 南1-2ホール | I-82 (小説|ホラー・怪奇)
  • めめんともり こはんのヴぁいおりん
  • Aki
  • 書籍|A5
  • 80ページ
  • 1,000円
  • 2026/11/8(日)発行
  •     『MEMENTO MORI ―湖畔のヴァイオリン―』

    「消えない音なんて、きっと音楽じゃない。――呪いみたいなものよ」

     東京郊外で小さな弦楽器工房「弦月堂」を営む椎名奏。
     

     彼の手元には、十年前に事故で亡くなった姉・真琴が最後に抱えていた一挺のヴァイオリンが残されていた。

     湖から引き上げられ、奏自身の手で修復されたその楽器。しかし奏は、十年間、一度もその音を鳴らすことができずにいた。

     ある夜、誰も触れていないはずの弦がひとりでに震える。

     そして聞こえてくる、苦しげな少女の呼吸。

    「……まだ……聴いてるの?」

     やがて奏のもとへ、霧見湖のほとりに建つ古い別荘「水鏡荘」から連絡が入る。そこは、姉が事故に遭う直前まで滞在していた場所だった。

     館内に並ぶ、すべて十一時四十七分で止められた時計。
     地下二階の湖水音響観測室。
     十八年前の録音テープ。
     同じ木から作られた二挺のヴァイオリン。
     そして、十五歳で亡くなった少女――御影音羽。

     湖の底に残された「音」を辿るうち、奏は姉の死と、十八年前に水鏡荘で起きた出来事へ近づいていく。

     これは、怪異に立ち向かう物語ではありません。

     死者を忘れられない者と、死者を忘れないことの違い。
     残すことと、縛りつけることの違い。

     そして「死を忘れるな」という言葉の先にある、「生きることを忘れるな」という祈り。

     ヴァイオリンの音、古い録音、霧の湖、止まった時計をモチーフに描く、静かで哀しいゴシックホラー。

     消えていくからこそ、音は美しい。
     そして人は、死者を胸に残しながらも、次の時間へ進んでいかなければならない。

      MEMENTO MORI.
       死を忘れるな。
      MEMENTO VIVERE.
       生きることを忘れるな。

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