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文学フリマ東京43出店者
彗星花信風堂(ブース: P-47)
あの夏へ
こちらのアイテムは2026/11/8(日)開催・
文学フリマ東京43
にて入手できます。
くわしくは
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あの夏へ
南1-2ホール | P-47 (小説|純文学)
あのなつへ
詩歩子
書籍|B5
18ページ
800円
https://kakuyomu.jp/my/works/…
報道特集でも紹介された小説、『あの夏へ』。
声優の山盛由果さんによって朗読された短編小説です。
20代前半の頃に書いた小説で地元の文学賞に初めて佳作入選した作品です。
動画が60万回以上再生されております。
私が10代の頃受けた偏見について書かれた小説です。
タイトルはジブリの音楽とジブリがハンセン病当事者とかかわりがあったことと少しかけました。
全国放送で拙作が流れて嬉しかったですね。
≪あの夏へ 出だし≫
僕は世界の何もかもが怖かった。偏見というそれはきれいごとでは片付けられないくらい怖い。たったあれだけのことなのに何であれほど恐れ、僕は人を殺すんじゃないか、と思っていたのか。なぜ、あの頃の僕はあんなに自分がいつか他者を傷つけるという不安に惑わされていたのだろう。偏見が怖かったのだ。今でも自分自身が誰かを殺すのではないか、という不安がなくなったわけではない。あの頃の悩みが消えたわけではない。今でも覚えている。ミツさんが十四歳の僕に残してくれた言葉。ミツさんはあの頃の僕に何を伝えたかったのだろう。大きくなった今なら少しはわかるような気がする。 星塚敬愛園に姉の勧めで行ったのは僕が学校へ行けなくなって一年も経とうとした十四歳の夏休みだった。夏の炎天下、僕たちが乗ったバスが療養所の門をくぐったことを僕はまるで昨日のことのように覚えていた。当時看護学科に在籍していた姉が県の主催のふれあいハンセン病事業という企画に応募し、引きこもりがちだった僕に声をかけてくれたのだ。あの頃の僕はほぼネットしか見ていなかった。少年事件の記事はほぼすべて見つくし、たまに図書館に行ってけばけばしい内容の犯罪ノンフィクションをびくびくしながら読む。パニックになって泣きながら眠る。それがその頃の僕だった。仕方ない。それが僕の障害の特性であり、障害への偏見なのだから。 僕はいつも周りから浮いていた。人のわずかな表情を読み取れず、ほかの人がしてほしいことを察することができず、たちまちいじめられた。いじめられたのは僕が空気を読むことが苦手だったからもあるけれども、担任の存在もあった。僕は病院に行って高機能広汎性発達障害の診断をもらった。高機能広汎性発達障害は簡単に言えば知能指数が普通、もしくは高い自閉症のことで、周りに人の機嫌をうまく読みとれず、周りから浮いてしまったり、能力にアンバランスが生じてしまったりする障害のことだ。シカトなんて今思えば可愛い方だった。シカトされればあらゆる悪事から遮断されるのだから。暴行に近いようなこともたくさんあった。いじめは普通の学校ならいくらでも起こるのに僕は耐えることができなかった。当時の担任の先生はクラスメートの前で僕の障害を説明した。最後の最後で女教師はつい本音を言った。 『アスペルガー症候群はあの酒鬼薔薇もそうだったのね。だから、日高君はちょっと変わっているんです』 十四歳の僕は先生がどういう意図でクラスメートに告げたのか、わからなかった。それを絶対に知るべきじゃなかったのに僕は知ってしまった。いじめはさらにひどくなった。ネットで調べてから僕は涙が止まらなくなった。またくくられるんじゃないか。それからだ。また同じ偏見を受けないため、彼と同じことをしないために教訓を得るため、自分と似ていないところを探すために、少年犯罪を調べ尽くし、偏見に怯えるようになったのは。
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