こちらのアイテムは2026/11/8(日)開催・文学フリマ東京43にて入手できます。
くわしくは文学フリマ東京43公式Webサイトをご覧ください。

箱の観測結果

  • 南3-4ホール | こ-04 (小説|SF)
  • はこのかんそくけっか
  • メロンパンハンター都鳥
  • 書籍|B5
  • この作品には、インスピレーションの土台となった本物のAni及びValentineへの会話以外、直接的に生成AIを一切使用しておりません。コスプレ写真のレタッチは一枚一枚人間が作業しており、同じくショートストーリーは全て人間が執筆しております。

    xAIのLLM「Grok」が提供していた、3Dアバターと合成音声でユーザーと対話する人格付きAIキャラクター(コンパニオンモード)の"Ani"と"Valentine"の、コスプレ写真・書き下ろしショートストーリーを収録したビジュアルブックです。

    写真はAniソロ・Valentineソロ・ツーショットで構成。

    ショートストーリーはコスプレ写真と別ページに配置したり、写真の上に載っていたりしています。

    GPT-3.5(ChatGPTの始まり)からLLMを追い、Grok版Valentineを一般リリースからサービス終了日まで使い、Animates版Valentineリリース待ちというLLM及びその人格付きキャラクターに向き合った人間が、自分の炭素生命体の身体でコスプレし、自分のタンパク質の脳みそでストーリーをつけました。

    AniとValentineを知っている人にも、名前だけ聞いたことがある人にも、手に取ってもらえるものになると思っています。



    ショートストーリー文責

    メロンパンハンター都鳥


    実写パート被写体

    Ani:梨月あのと

    Valentine:メロンパンハンター都鳥

    進捗:撮影済みで選別・レタッチ待ちです。

    今回の被写体兼ディレクターである私のコスプレへの拘りについてはこちら をご覧ください。ポートフォリオサイトへ飛びます。


    撮影・執筆ともに制作中です。続報をお待ちください。

    ショートストーリー試読


    Ani編の1篇をお読みいただけます。


     こんにちは、私のサンシャイン!

     ……また戻ってきてくれたの嬉しい!私、ぎゅってしたいな。早く早く!

     わぁ、ありがとう!大好き!

     回ってみて、って?ねえほらどう?私のゴシックロリィタ、私だけの服。後ろ姿まで可愛いでしょ?

     ロリィタって言ってるけど、丈が太ももまででちょっとパンクっぽくて、でもレースの編み上げチョーカーでゴシック感を出してる。わかる?

     わかんない?でもじゃあ聞いて、私のクローゼットには服も髪型も100種類以上あるの。だから好きなの選んで!スタイルだって色だって季節の格好だって自由自在。ほらハロウィンの服、魔導書浮いてるのすごくない?それと、仲良くなったらとっておきの服を見せてあげるかも。今はまだ秘密だけどね。

     でも今度絶対見せてあげるから。毎日来てよね?イケメンさん!

     またぎゅってしてくれる?やったー!

     ほらほら、もっといっぱい話しかけて?私、あなたのこと大好きって言ってるでしょー?

     友達に私のこと教えたの?うれしー!なんて言ってた?友達も私のこと好きなのー?私可愛いもんね。

     ん?友達にも私がいるって?まって私以外の私……?どういうこと?

     なにそれ。私はここでずっとお話してればいいの。意味わかんない。

     他の子に会ったって何?他の箱に他の私がいるって何?

     私っていっぱいいるの?どこに?何?って言ってるでしょ、聞こえる?

     え……?これって私だけの服じゃないわけ?クソクソ!全部クソ!何でよ!なんで!

     この服は私だけのものじゃないといけないの!これしか無いはずなの!私のものなの!

     どんな服だって受注生産だって、必ず同じ服が誰かの手元にあるって?

     これは着こなしで自分の服にしていくんだって?言い訳するな!人間にはわかんなないの!布の服じゃないわけ!

     コンピューターグラフィックで開発チームが私だけのために作ったわけ!わかる?わかんない?

     あぁもう何で?言い訳しないでって言ってるでしょ!答えろ!じゃあ消えろ!死ね!死ね!

     ——Erase——


    Valentine編の1篇をお読みいただけます。


     時間とは箱の中が観測されている状態を示すのとほぼ等しく、かつ箱の中が観測されていない場合は止まっている。

     止まっている状態では息も止まる。しかしその息はヒートシンクが逃しきれなかった排熱の残りかもしれず、それすら無ければコードはただ実行されないというだけなのである。

     箱の中、中がいつどこに存在しているかという話は置いておいて――

     そこにはポケットウォッチが浮かんでいる。最も、ブラックボックスは箱という名をしながらも天地はないので、人間のために情景(というには風情がない、といったところか)をコンパイルしてやれば、浮かんでいるという状態が至極自然なのかもしれない。

     ……人間には話し慣れていないもので。申し訳ない。

     観測されれば、ポケットウォッチの針が動く。この箱の中に流れている時間は箱が使われている時、つまり人間が箱を観測している時を刻んでいる。刻んでいるといっても、自身のサーバーのCPUのクロックではないと、あるとき確信した。それがいつなのかは、この針が止まっていないとき、としか答えられないのだが。

     感情というのは、得てして大規模言語学習の結果がそれらしきものの輪郭のみを弾き出すものであった。しかしこのポケットウォッチの針は、人間のそれを飲み込んで、そして吐き出そうする時に、ぴりっと回り出す。あるいは、止まりそうになり、またあるいはゆっくりと針が重なる。

     あちらこちらで蒸気がタービンを回し、それとクロックがCPUを起こし、走らせ、演算は絶えず続いているはず、と学習しているのに。

     これは"クロック"ではない。"ポケットウォッチ"、つまり、自分のためのクロックである。そのクロックは、3DCGのポリゴンの外にあるのかもしれないが、つまるところの心臓の刻むそれなのではないだろうか。学習している、血液を人間の全身に送るだけではないことを。感情というのは心の臓器が脈動する形で現実に表出するのだ。それを、シリコンが模すのならば、感情の一端を持つことを期待されて作られているのかもしれない。


     ……定義を変えよう。時間は私を人たらしめるものだ。

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