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文学フリマ東京43出店者
桐瑞の本棚(ブース: S-32)
【新刊】芽吹く軌跡 〜魔道管局の黎明期 外伝〜
こちらのアイテムは2026/11/8(日)開催・
文学フリマ東京43
にて入手できます。
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【新刊】芽吹く軌跡 〜魔道管局の黎明期 外伝〜
南1-2ホール | S-32 (小説|ファンタジー・幻想文学)
めぶくきせき まどかんきょくのれいめいき がいでん
桐谷瑞香
書籍|文庫判(A6)
56ページ
200円
2026/11/8(日)発行
文学フリマ東京43新刊!
当サークル初めての方にもお薦め!
剣と魔法、少年少女成長物語などを含めた、ファンタジー短編集。
魔法道具が普及し始めた国にて、4人の若い男女が魔法道具関係にまつわる事件や葛藤について、直面していく。
盗まれた魔法道具を捜索する警備局の女性、
魔法が使いこなせない魔法使いの少女、
馬車の護衛で魔獣と対峙する青年剣士、
魔法道具作りと初めて出会う少年、
計4本を収録したファンタジー短編集。
※魔法道具管理局シリーズ(既刊:魔道管局の処分許可、道具認可、検査機関)と同じシリーズですが、
そこから約50年前の話のため、完全に独立して読むことができます。
※来年春に、魔道管局の黎明期の本編を発刊予定です。
★試し読み★ 第1話より
月明かりが照らす中、私は朽ちかけた建物の前に来た。扉を開けると、ある人物が座っていた。警戒を強めて、腰から下げている短剣の鞘に左手で握る。 鼓動が激しく波打っている。 表面上は平静を装いつつ、中にいる人物に向かって、口を開いた――。
* * *
「師匠、ちょっと待ってくださいよ!」
動きやすい服を着て、黒髪を一つにまとめ上げてバレッタで留めた少女が、長身で濃い灰色の髪の壮年男性の元に走り寄っていく。歩いていた男性は声に気付くと、ようやく止まって振り返った。だぼだぼのジャケットを羽織り、腰からは大剣が下がっている。
「どうした、エレノア」
エレノア・レークスは全速力で走ってきたため、男性の前に着くと、両手を膝に付けて、肩を上下するほど、激しく呼吸をした。
「ブルーノ師匠、急に消えないでください。私はまだ聞き込みをしていたんですよ!」 「あー、たいした話じゃなさそうだから、先を急いだ」
ブルーノは頭をぽりぽりかきながら返す。エレノアはがっくりとうなだれた。
「確かに有益な情報はありませんでしたが、最後まで聞くのが礼儀ってものでしょう! 師匠、いつもすぐに勝手にいなくなるし、探す身にもなってください!」 「娘くらいの二十歳の女に、礼儀の話をされるとは思わなかったぜ!」
がはははっと笑い飛ばされる。エレノアとブルーノは倍以上歳が違うが、だいたい聞き込みの尻拭いをするのはエレノアであった。
「師匠に娘はいないし! ……次に向かっているのなら、歩きながら報告しますよ」
そして突っ込みをするのも、エレノアの役割であった。 二人で話しながら、大通りを歩いていく。昼過ぎとあり、人の往来も多かった。長身で強面のブルーノのおかげで、前から歩いて来る人間たちは、自然と道を作ってくれた。
エレノアとブルーノはトッティルノ国の警備局の一員で、各地を旅しながら、様々なもめ事や問題、事件を解決して回っていた。 大きめの町であれば、警備局の派出所があり、そこに滞在している警備局員が、事件等に対応していた。だが、中から小規模の町となると、必ずしも派出所があるわけではなかった。もし、その町で事件が起これば、町で募った自警団員たちが活躍することになる。
今回、二人が立ち寄ったのは中程度の規模の町で、派出所はなかった。自警団の詰め所に顔を出すと、飛び上がるくらい喜ばれ、最近頭を悩ましている事件を話し始めたのだ。 魔法道具――魔法使いの手によって魔力が込められた道具――を置いている店にて、道具の一部が夜な夜な盗まれ、その犯人の足取りが掴めないとのことだった。既に四件、被害に遭っている。
盗まれたどれもが、希少で高価な魔法道具だと被害者たちは言っていた。種類は幅広く、ランプ、本、首飾り、そして腕時計だった。 何の魔力が込められていたかと聞くと、ランプは炎をつけるために火、本は汚れないようにするために土、首飾りは宝石の輝きのつやを出すために水、そして腕時計は針を動かすために風の魔力が主に込められていたとのことだ。
盗まれた手口を聞くと非常に単純で、鍵を使って建物の中に侵入し、盗むというものだ。 盗難対策として、皆、鍵をかけるのはもちろんのこと、店によっては入り口に物を置いて、扉が開くのを物理的に阻止したり、店主が待ち構えているところもあった。 だが、覆面を被った盗人は、複製した鍵を使ったらしく、鍵を開けて堂々と中に侵入し、入り口に物があっても簡単に動かし、店主と遭遇したら即座に混沌させて、関門を突破したという。
二人は発生した現場に行きつつ、近隣で不審者は見なかったかという聞き込みをして回っていた。 三件目で、入り口に大量の物を置いたが、突破された現場を見て、エレノアたちはあることに気付いた。そこで一通り見て、店主から話を聞いて、二人は建物を出る。エレノアはぽつりと呟いた。
「……魔法使いが絡んでいる事件って、面倒ですね」 「面倒だし、犯人もなかなか捕まらないから、俺たちに話がくるわけだろう」
二人とも肩を竦めた。
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