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ある時俺はトマトだった

  • 南1-2ホール | M-25 (小説|ファンタジー・幻想文学)
  • あるときおれはとまとだった
  • しろうまる しろう
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 12ページ
  • 50円
  • https://note.com/shiroumaru/n…
  • 2026/5/3(日)発行
  • 不思議な変身短編集。全三話。
    主人公がトマト、ワイン、氷になってまふ。
    A6コピー本。

    サンプル!
    〈トマト〉
     ある時俺はトマトだった。他のトマトと一緒に並んでいる。隣はキュウリ、反対側はトウモロコシ。夏野菜の棚だ。冷蔵コーナーでは大葉とミョウガがひんやりしている。俺は寒さは得意じゃない。あそこの棚じゃなくて本当によかった。
     いろんな人から吟味されているうちに、俺はコロンと転げ落ちた。見えた景色は足、足、足……そこら中に足がある。踏まれるかもしれない。ないはずの心臓がドッと大きく鳴った。
     コロコロ転がり必死で足を避ける。やっとのことで端の方に移動して、ここなら安全だろうとススッと止まった。しかしふと見ると、まっすぐこちらに向かってくる足がある。頼む、よそに行ってくれ!しかし無情にも足は目の前に。もうダメだ、終わりだ……と思ったら、 「ずいぶん活きのいいトマトだな。こいつにするか」 友人の声がした。
      赤いカゴに入れられてコロコロしていたら、やつはパスタを手に取った。これはもしや……トマトパスタ?!頼む!やめてくれ!俺の叫びも虚しく、友人はすんなりレジを通って行った。  帰宅して、やつはさっそくキッチンへ。びしゃっと水をかけられまな板の上へ。やつはナイフを取り出した。その刃がギラリと光る。切れ味鋭く最初のトマトを真っ二つに……ヒィ!!どんどん切られていくトマト。早い!手際がよすぎる!普段なら感心するところだが今はそれどころではない。そしてとうとう俺の番……やつの手でキュッとつかまれた。楽しそうな微笑みが怖い。ゆっくりと近づいてくるナイフ。その刃が皮に触れて……


     俺はガバッと飛び起きた。汗だくで周囲を見回す。俺の部屋だ。ああ、なんだ、夢だったのか……それにしても酷い夢だ。疲れた……ぐったりしているところに電話。友人からだ。
     「トマトパスタ作ったんだけど、食うか?」
    「ヒィ!!!」

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