魔法道具で辛い思いをした女性が、先輩たちに支えられながら、仕事を通して成長していく、淡い恋と成長物語。
魔法道具を世に出すためには、魔法道具管理局――通称“魔道管局(まどかんきょく)”にて認可を出してもらう必要がある。
道具認可課で働いているケイトは過去の経験を胸に秘めながら、誤った認可をしないよう、注意深く相手方と応対をしていた。
今日も変わった魔法道具の認可を得ようと人々は続々とやってくる。果たして、どんな道具が現れるのだろうか。
口下手な頼れる先輩や頑張り屋の後輩と協力しながら、前を向いて頑張る、お仕事奮闘記。
魔法道具管理局シリーズ第2弾。
2023年7月「文披(ふみひらき)31題」参加作品。
7月にwebで連載した小説の加筆修正版です。
web版→
https://ncode.syosetu.com/n3232ih/※『魔道管局の処分許可』『魔道管局の検査機関』と同一世界観のお話です。
(魔法道具管理局の別の課の話となり、それぞれ独立して読めます)
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★試し読み★ 第1話より
「ケイトさん、透明人間になれる魔法道具ってありますか?」
突拍子もない質問をされた私は、書く手を止めて、隣の席に座る後輩を見た。
今年入局したばかりの十八歳の新人、サミー。ハキハキと受け答えをし、地道に仕事をこなしている姿は、上司だけでなく、応対した相手方からも受けがいい。天然パーマが入っている金髪を気にしているようだが、それは個性として捉えていいと思う。
私は彼に仕事を教えている立場のため、彼とは仕事の話はもちろんのこと、日常の雑談まで時々している。
そんな中、今まで考えたこともない話題を振られて、目をぱちくりさせてしまった。薄茶色の髪を下の方でお団子状にまとめた私の頭の上には、文字通り疑問符が並んでいた。
「どうしてそんな道具が気になるの?」
問いに答える前に、彼が気になった理由を聞き出す。
「この前、テレビドラマを見ていたら、そんな内容の道具が出てきました。それで実際のところ、どうなのかなって」
なるほど。ドラマは架空世界の話だが、現実問題あるかどうか気になったわけか。
私は腕を軽く組んで、天井を見上げた。私が知っている範囲では聞いたことはない。ここで生真面目な彼がわざわざ質問してくるということは――
視線をサミーに戻す。
「サミー自身の手で、局の認可道具の一覧を調べたんでしょう? おそらく、そんな道具はないはずだと思う」 「はい、その通りです。だけど、もしかしたら漏れがあるかもしれないと思って、仕事の経験が俺より長い、ケイトさんに聞きました」
魔法使いの手によって魔力が込められた道具――魔法道具が幅広く普及している国があった。 魔法道具があれば、国内にいる大多数の魔法を扱えない者たちが、その力を引き出すことができる。そのため魔法道具は大変重宝されていた。
道具は日常的に使えると便利なものから、需要はなさそうだが珍しい現象を起こせるものまで様々な物があった。 それらを第三者が扱っても問題なく作動することのお墨付きをされたのが、国から事前に認可を受けた道具たちだ。そして、世の中に道具を流通させるためにも、認可を受ける必要があった。
その認可を行っているのが、魔法道具管理局―通称〝魔道管局(まどかんきょく)〟の中にある、道具認可課であった。
ちなみに、魔道管局は多数の課で成り立ち、様々な面から魔法道具に関係する管理をしている行政機関である。