腐葉の家族・ゆきさき
- 南1-2ホール | H-52 (小説|エンタメ・大衆小説)
- ふようのかぞくゆきさき
- 芦田芋助
- 書籍|文庫判(A6)
- 118ページ
- 700円
- https://twitter.com/jc_amon
- 2023/5/21(日)発行
「閉ざすのも、ひらくのも、そうして関わるだけだから」
『腐葉の家族』
身体が動かなくなった。
それは、私の心が身体を動かす力を失った、ということだった。
無理がたたって人生が途切れ、すべてを諦めて自室に閉じこもる。
階下の家族の生活や、街の生きるのを音に聴きながら、
未来などなく、過去ばかりを思い返して、
家屋とともに朽ちてゆくまで、閉ざし尽くした果ての景色とは。
『ゆきさき』
おそるおそる車内の様子に目を向けてみる。
隣や正面に誰も座らなかったのは見なくてもわかっていた。
しかし、これはいったいどういうことか。
いくら車内を見回してみても、わたし以外に乗客がいない。
混雑するはずの電車に、どうしてかひとりきり。
奇妙ではあるが、不安に思うことなどなにもないはずだった。
人との接触に怯えてばかりいるのだから、
せっかくのひとときを楽しんだらいい。
車窓から眺める街の光景に、やがて彼女はなにかを見出す。
心象が現出する双極の怪奇幻想リアリズム2篇収録。
