「いいですか、その属性の道具はここに書いてある処分場には持っていけません。別の処分場に書き直してください」
「どうして駄目なんだ? 安く処分してくれる、いいところなんだぜ⁉」
体格が大きい男は、机を両手でバンッと叩いて、立ち上がった。
応対していた二十代前半の女性は、顔色一つ変えずに男を見上げた。男の眉間にしわが寄っている。口調や態度から見ても、不満そうなのは明らかだ。
ため息が出そうになるのを我慢して、手を前に出した。
「まずは座ってください。それから説明をします」
ゆっくりと言うが、男は座ろうとしない。女性は姿勢を正して、男をじっと見た。
しばらく硬直状態が続く。周囲はざわめいているが、ここだけは別空間のように静かだった。やがて男はしびれを切らしたのか、椅子の上にぞんざいに座り込んだ。
女性は息を吐き出し、呼吸を整えてから口を開いた。
「この処分場は、水の属性の魔法道具だけを処分しています。土や風の属性が多少付いていても、付着物と見なして良しとしています。しかし、火の属性だけは厳禁です。絶対に運んではいけません」
「だから、何で――」
「水と火は相反します。水属性の道具を処分している中に火属性の道具を入れれば、反発し合い、最悪の場合、大爆発が起きかねません。この処分場一帯をすべて吹き飛ばすほどの規模になるかもしれません」
「なっ、そんなことあるわけ――」
「過去にあったから、こんなにも厳しく言っているのです!」
男が口を開く前にぴしゃりと言い放つ。男は女性に圧倒されて、若干後退った。
これで男の勢いは完全に衰えた。女性は過去の出来事を淡々と話し、書類を再度提出するよう言いくるめて、男には帰ってもらった。