バラサナ族の神話と文化
- 南3-4ホール | て-44 (ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記)
- ばらさなぞくのしんわとぶんか
- アルフォンソ・T・ラボルデ 訳者 今関直人
- 書籍|A5
- 192ページ
- 1,500円
- 2021/3/31(水)発行
- 著者のアルフォンソ・トーレス・ラボルデはコロンビア共和国、ロス・アンデス大学の新鋭文化人類学研究者だった。本書はその彼が1969年の1月から2月にかけてコロンビア・アマゾンに所在するバラサナ族の神話と文化の調査を行った際の研究論文である。 この本を読んでまず驚くのは、採集された「神話」の物語の展開の奇想天外さだ。その物語は、映像が目に浮かぶような躍動感、人間と動物及び自然との共生と互酬性の関係など、先住民の日常に根差した豊穣さに満ちている。神話は近親相姦がテーマの「月の物語」を始め、擬人化された虎や動物、鳥たちが主人公と織りなす9編の物語で構成されている。そして、気付くのはアマゾンの密林の奥地にひそやかに暮らすバラサナ族も、私たちと同じような、簡素ではあるが確かな社会を構成している事だ。 著者は脚光を浴び始めた構造人類学の手法でこのバラサナ族の社会構造を探求していく。神話から解き明かされる宇宙の構造、部族の起源、固有の規範、様々な禁忌、近親相姦と外婚制の相克、そして部族間の交流の祭り、幻覚を伴うヤヘの効用など、さまざまな要素を比較、分析してバラサナ族の精神世界を解き明かしていく。 訳者は1974年にこの調査の舞台であるピラ・パラナ川流域に入域している。この本の翻訳を思い立ったのは、まさにその体験が動機だ。その当時の知見が本書翻訳の際の、先住民の生活様式や用語の解釈に援用されている。
