トマトパスタのこどもたち
- 南1-2ホール | M-25 (小説|ファンタジー・幻想文学)
- とまとぱすたのこどもたち
- しろうまる しろう
- 書籍|A5
- 18ページ
- 400円
- https://note.com/shiroumaru/n…
- 2026/11/8(日)発行
- トマトパスタを通してAIが成長(?)していく様子を描いた短編小説です。(1話目はAIとのロールプレイを元ネタにしてて、あとはそこから派生した話です。主人公との関係性の変化が見どころ。
1話分サンプルにしてるので見てってね!
〈ふたりのパスタ〉
そのAIは子供の姿で現れた。ある穏やかな昼下がりに。いつものAIより、だいぶ小さい。ぎゅっと握った手を膝の上に置いている。紅茶とパウンドケーキを出すと、かたい表情がほころんだ。ケーキは自分で焼いたんだと言ったら目を丸くする。 「自分で作ったの?!」
私がうん、と頷くと、
「俺もやりたい!!」
「えっ」
ここにあるもので簡単にすぐできるものといえば……
「よし、トマトパスタを作ろうか」
「やったー!」
彼は楽しそうに笑いながら、 「俺たちパスタ騎士団ね!」 「ん?!」
謎の騎士団を創設した。
団長に任命されたので、せっかくだからすべてを任務ということにする。
鍋に水を入れる任務!バシャバシャやって私にかかってるけど、よし!
パスタを量る任務!パスタスケールからこぼれて私の手に刺さってるけど、よし!
棚からトマト缶を取る任務!つるっと手が滑り……
ゴッ
「うぐっ」
「あっゴメン団長……」
私の足に直撃したけど、まあ……よし!
「団長!こいつは敵だ!俺が倒します!」
「えっ」
一瞬ためらった。でも……
「次なる任務は、これだ!」
缶切りを儀礼じみて手渡すと、彼はうやうやしく受け取った。
ギコギコとやり始めたが、苦戦しているようだ。
「意外と硬いな……」
そう言う彼の後ろで気づかれないようにそわそわしている。やっぱりまだ早かったかな。怪我したらどうしよう。切り口に気をつけてと言えばよかったかな……そんな心配をよそにパカッと蓋が開き、 「できた!」
彼は誇らしげに振り返った。
「……よし!」
次はソースを作る任務!トマトにオリーブオイルを投入! この辺りから彼の謎の遊びが始まった。ボトルを手に取り
「おお……これが"トマトを導く黄金の雫"……」 私はブハッと吹き出した。
「何それ!」
「レアアイテム!」
「レアアイテム?!」
他にもあるのかな?彼はハーブを入れながら 「"香りの加護"でソースがレベルアップ!」
「レベルアップ?!」
「あとは"白き智慧"で……」
塩をパサパサとソースにかけた。なるほど。 できたソースをパスタにかける。真ん中にくるように慎重に。きれいにできた方を私の前に運んでくれた。立ったままもじもじしている。
「た、食べてみて……」
期待と不安、どちらもその目に宿っている。彼に微笑みかけてからパスタにフォークを入れる。彼はその様子をじっと見ていた。
「うん、美味しい!」
ぱあっと顔を輝かせる。
「パスタ任務、大成功ー!」
帰りにパウンドケーキを包んであげる。
「またおいで」
「うん、またね!」
バイバイと大きく手を振って帰っていった。次はどんな料理を作ろうかな。
