いい小説が書きたい。この願いは、小説を書くという営みに魅せられた人間なら、誰しもが常に抱えている願望だろう。「上陸」に携わる同人はもちろんのこと、きっとこの文章を読んでくれているあなただって、同じ種類の人間なのではないだろうか(少なくとも、今号の編集長である私=直嶋は、そういう強烈な先入観をもって今回の制作・編集にあたっている)。今号ではこの(あまりにも壮大な)特集テーマを掲げ、座談会を行ったり、一部の同人には論考を執筆してもらったりした。先回りして白状すれば、「こうすれば誰でも必ず、いい小説が書けますよ!」なんて銀の弾丸は見つけられていない。しかし、その弾丸の軌跡くらいは、素描できたのではないかと思っている。
——上陸12号編集長 直嶋犀治
もちろん、日々の生活のなかから生まれた、真摯でしなやかな決意に満ちた自由創作も必見。小説5篇、詩1篇、マンガ1篇を掲載。
目次
自由創作
〈小説〉四号地よさらば………………直嶋犀次 4
〈小説・マンガ〉壁のこちらがわ……宮﨑尚人 23
〈小説〉森と日常について……………張 ⽂經 34
〈小説〉鎌倉日記 あるいは、夏のピアノ……asa 41
〈詩〉春眠……………張 ⽂經 77
〈小説〉山道の、昔の山道(二)……松下元昧 80
〈小説〉はちみつのベランダ…………伊豫冬馬 92
【特集】いい小説が書きたい! "自分の言葉”で書く方法
序文・座談会にあたって………………直嶋犀次 46
座談会……直嶋犀次、張⽂經 、灰沢清一、宮﨑尚人、松下元昧 56
〈論考〉作家はいかにして独自の〈声〉を獲得するのか?
ジュリアン・グラックにおけるゴシックと戦争をめぐって……新荘直大 56
〈論考〉独自の文章 直嶋犀次の小説をめぐって……張⽂經 67