──聞いてますか?
──さよなら、先輩。大好きです。
魔法少女を卒業する日の朝、少女は病室で同胞の先輩に語りかけた。実は、世界を救った先輩は目覚めることのない呪いにかかっていた。
──どうして目を覚ましてくれないんですか、先輩。
守りたかった日常を守れなかったことに苦しみつつ、卒業を迎えた少女は楽しかった思い出への未練を断ち切ろうと決意する。
しかし2人の秘密の砦だった小部屋を片付けていたとき、先輩が最後に書き残した言葉を見つけて……。
怖くて寂しくて不安だけれど、それでも取り戻したアタシが戦う理由。
大切な人に届くように、今日も声を紡ぐ。
「魔法少女じゃなくなっても、ずっと私の憧れだよ」
誰よりも魔法少女にふさわしい、なるべくしてなった少女:美甘。世界がどう思うかはわからないが、少なくとも桃子はそう思っている。
そんな美甘はある日の退治終わり、桃子のもとへ黒いドレスの少女──魔法で怪物を生み出している、美甘とは正反対の魔法少女:友里を連れてくる。
「桃子さんもすごいよ。強大な力を使わない選択ができるのは、意思の強い人だけだから」
3人は魔法の使い方について話しながら、自身がどうあるべきかを考えていく。
大きすぎる力を手に入れてしまった時、普通だった少女たちはどうなるのか。
なんか、魔法が使えなくなるって、希望がなくなるみたい。
中学3年生の杉本一花は魔法少女だ。人知れず街を守ってきた。
ところが、ある春の夜明け、戦いは唐突に終わりを迎える──。
「あなたは普通の女の子の杉本一花になるの」
だんだんと世界から消えていく魔法、少女ではなくなっていく体、これまで目を逸らしてきた将来のこと。
魔法少女であることが、自分にとって大事だった。……こんなにも。
夕陽の中、花を散らす桜の木の下で一花は静かに微笑む。
魔法の終わりから始まる、儚い光と痛みを孕んだ青春譚。