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メモリーボート

  • 南1-2ホール | M-71 (小説|短編・掌編・ショートショート)
  • めもりーぼーと
  • 市川湊都
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 34ページ
  • 350円
  • じょぼじょぼじょぼじょぼ 

    朝、この俺が一人でコーヒーを淹れていた。この家をゆっくり見渡す。本当にいなくなっているんだなと思った、俺の家族が。思考がグルグル回る。なぜ逃げた。なぜ俺を裏切った。

    「アーーー、腹立つ。」とっさに出た言葉だ。名誉もあるし金もある。こんな俺の家族で幸せだろが、ボケが。そこら辺にあった空き缶を蹴った。

    「これからぁ、あいつらにぃ、なんか金も払わなくちゃいけねぇんだろぉ。怠いって。」

    「もーーー、あいつらマジで許さん。」

    ヤバい、一回冷静になろう。もうしょうがない、散歩をしよう。

     家を出た。家の近くに公園があることを初めて知った。

    「案外、俺何にもしてなかったな。家事とか育児とか。」俺だって検察官でとても忙しかったし・・・。風に身を任せるまま歩いていた。何も考えたくないから。

     そして変なところに着いた。ここはなんだ。

    (看板)メモリーボート     

     (メモリーボートより)



    今地球は一人です。
    人口は十億人以上ですが。
    誰も人と分かり合えないと、そう思っています。
    東京。
    それは静寂。
    でもまだ分かり合えるって信じてる人がいる。
    地球はまだ捨てたもんじゃない、と。
    そう言うひとはみんな煙たがられている。
    私は、別にそういう人がいてもいいと思うけど。  

     (火星人より)



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