柔らかい雑音
- 南3-4ホール | に-16 (ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記)
- やわらかいざつおん
- 日々野晴
- 書籍|A5
- 112ページ
- 少なくとも私には、化学分析が絵を描くのと似ていると思う。
対象がどんな素性形態のものか描き出すための画材が絵の具か数値かの差なだけだ。その数値は、スペクトルという波を描き、例えば目の下の泣き黒子のような特徴を教えてくれる。私はその知らせを忘れないように、しっかとキャンバスに描き込む。
そんな私の脳内は雑音に塗れている。それは私を形作る愛すべき雑音達だ。無駄で、他の人にとっては取るに足らないものでも、それらは柔らかく緩衝材となって、私を生かしている。その優しい鎧は、小さい頃の私には掴みきれなかった世界を見つめ直す機会をくれた。
そんな私の目に映る日々の徒然を書いたエッセイ。
