祖父に可愛がられ、魔法を教わりながら育った双子の姉妹。しかしある日祖父から「新弟子を取った」と告げられ、私たちのお祖父様だったのに、と葛藤が始まる。 祖父が認めた人なのだからと理屈では分かっていても、感情はそう簡単には追いつかない。 双子は軽妙な会話の端々に鋭い観察眼を宿し、その「値踏み」の眼差しはやがて、共同体の構成員が受け入れる者を選ぶ残酷さと、同じきょうだい弟子の間の、招く/招かれるという非対称性の影も密かに落としていきます。
共に騎士を目指す中で友情を深めつつあった公爵家の次男と執事の長男。しかし、公爵令息は友人が姉に想いを寄せていることに気づいてしまう。③ 魔法使いとしてのキャリアを取り戻す夫人
友人も姉も守りたい。しかし、友人の恋は姉のみならず本人の未来を壊してしまいかねない――。
身分の壁の前で、令息は「友の初恋を諦めさせる」ための言葉を探し続ける。令息としての正しさと、友人の心を大切にしたいという思い。
互い違いの痛みに抉られながらも、両方を守る道を探す令息の苦悩を描きます。
かつて魔法使いとして軍にいた夫人は、結婚により除隊していた。④ 服屋の若手魔法使いと、VIPの来店
元同僚の夫、姑と兄嫁、結婚前からの友人と、彼女が紹介してきたとある子供。
周囲の視線や自分の立場を踏みしめ、時に踏みしだいて、夫人は「もう一度」を選ぶ。
現代社会のジェンダーギャップにも通ずる壁を破る、女性の再起の物語です。
若手魔法使いが働く服屋に、突然王国一の魔法使いから予約が入る。⑤ 魔力のない少年が、自分のままで生きていける場所を探す
VIP対応の準備で、店を挙げての徹夜での大わらわ。
若手魔法使いも作業に精を出し、店の大一番に向けて先輩や、ベテラン職人とも団結していく――仕事現場の息遣いと、日常生活に溶けている魔法の温度が立ち上ります。
差別され、追われ、逃げてきた少年が願うのは、特別になることではない。「自分のままで生きていく」それだけ。
そんな場所が本当にあるかも分からないまま駆け出し、時に息を潜め、それでも一歩ずつ前へ進む。
命懸けの逃走を経て境界線を一歩踏み越えると価値観がひっくり返る出来事もあるが、少年はそこで生きることを選ぶ。
古い共同体を去り、新しい共同体での生き方を問われる、越境の物語です。