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【新刊】流星のすみか

  • 南3-4ホール | う-91 (小説|SF)
  • りゅうせいのすみか
  • 丸山弌
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 1,500円
  • 2026/5/4(月)発行
  • 【あらすじ】

    第1部:ブラックホール〈ヴォイド〉に最も近い恒星系に属する惑星〈エレピット〉。借金まみれの流星漁師ユイナは、命を賭した流星漁の最中、事象の地平線ぎりぎりの最終安定軌道上に静止する幽霊船――伝説の図書艦リブラリアを目撃する。そんな中、「さわれる真実」を追い求めてリブラリアを探す冒険者ソラーと出会ったことで、ユイナの停滞した日常は宇宙規模の戦乱へと加速していく。

    第2部:事象の地平線へ沈んだリブラリアを救い出すため、ユイナとソラーは富裕都市〈エレアイル〉を訪れる。時間格差の恩恵を受けた上層世界で、二人は新たな協力者パラム博士と出会う。そして、1秒で数千年が経過する事象の地平線へとダイブした先で、目標のリブラリアを発見すると同時に、〈ヴォイド〉の真の姿を目の当たりにする――


    【この作品について】

    ①本作は「宇宙をがっつり書きたい」という動機から出発し、まずはかつて科学雑誌『Newton』に熱中していた頃に取り入れた知識を現在の自分なりの物語として出力したいと考えた。ただ、スペースオペラとして王道の帝国興亡史のような構造は勢力図や戦乱ドラマに重心が寄ってしまうため相性が悪いと判断し『ブラックホールを中心とした複数の恒星系』という舞台を軸に、宇宙物理学的な驚きや、そこに生きる個人の泥臭い冒険を物語の中心に据えることにした。これにより宇宙の神秘と人間の生々しい実感の同居が実現し、ブラックホール近傍の極限環境で日銭を稼ぐ「流星漁師」を主人公とした〝宇宙そのものの異様さと広がりが核にある宇宙冒険活劇〟として企画をスタートさせた。

    ②世界設定の核は、ブラックホールが引き起こす時間潮汐によって「相対的に時間が遅い星と時間が速い星ではどちらが裕福になるのか」という問いを起こし、社会、経済、労働、借金のあり方を組み立てることから始めた。その結果、宇宙物理学と生活苦を同じ地平に置くことができ、主人公はどれほど過酷に働いても報われず、莫大な借金に追われ続けるという構造的な必然性と原動力が生まれることになった。そこに執筆当時のアメリカ大統領選挙戦の熱狂に着想を得た「中央集権vs地方主権」の対立構造を反映させ、さらに「フェイクニュースやハルシネーションによって、何が真実か判別不能になった時代」という現代的課題を重ね合わせることで、主人公とは異なるベクトルで物語を動かす複数の原動力を得ることができた。

    ③執筆にあたっては、高重力ポテンシャル内での宇宙船の出力や航行に関する技術的な厳密さは意図的に削り、広大な文明圏で蠢く人間ドラマと、宇宙の骨格そのものが持つ特徴的な設定の描写に集中した。そのためブラックホール内外でのアクションもダイナミックに描くことができたため、この判断は正解だったと思っている。

    こうして、莫大な借金を背負いながらも現実に食らいつくユイナ、真実というロマンを追うソラーという正反対の二人の像が確立し、ブラックホールが生み出した物理学的な格差と世俗の泥臭さが隣り合う、宇宙冒険バディものというコンセプトが完成した。

    興味ある方は、ぜひ読んでみてください。

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