こちらのアイテムは2026/5/4(月)開催・文学フリマ東京42にて入手できます。
くわしくは文学フリマ東京42公式Webサイトをご覧ください。

余白を抱いて

  • 南3-4ホール | あ-27〜28 (小説|その他)
  • よはくをいだいて
  • 涼夏
  • 書籍|新書判
  • 114ページ
  • 1,500円
  • https://note.com/ryoka_7283
  • 2026/5/4(月)発行
  • 【余白を抱いて】

    言わずとも 伝わることの便利さへ 胡座をかいて 言葉足らずか

    人生に居座る漠然とした不安と自己答弁
    人は何を望み何を求めるのか

    「余白を抱いて」短歌集

    詩や短歌に決められた解答はありません。
    読み手によって受け取る世界は異なります。
    意味がわからないものは調べていただいて構いません。
    もちろん雰囲気だけで受けとっていただいても構いません。
    あなたが感じたものや想像した情景が この短歌集の答えとなります。

    プロローグ

    私はもう随分と長い間地面に這いつくばっている。
    ここは存外息がしやすい場所だ。
    暗闇に溶けるは私の息である。

    呼吸すらままならない日常を捨てきれず
    今日も私は地面と頬を寄せ合い、その冷たさに安堵する。

    ふと顔を横に向ければ遥か彼方に小さな灯火を見つけた。
    ゆらり、と今にも消えそうな小さな灯火は
    しかし確かにそこに存在していると感じられた。

    冷えた重い上体を起こし再度目を凝らす
    灯火は私を誘う
    次は膝を前に出す
    本当にそこに光は在るのだろうか
    固まった関節が悲鳴を上げる
    この足は私の意思で動いているのだろうか
    地面を引き摺る足を叱責する

    そうして漸く私はその灯火の元へたどり着いたのだ。

    万年にも感じられた道のりの先にあった灯火は酷く小さく
    私の呼気ひとつで消え失せてしまいそうなほど儚いものであった。

    小さく、しかし温かなその灯火のふもとには何かが転がっていた。
    黒く大きな影のような塊はやがてその上体を起こし私を視認する。

    「嗚呼、こんな所に居たのか」

    私は酷く安心した。

ログインしませんか?

「気になる!」ボタンをクリックすると気になる出店者を記録できます。
「気になる!」ボタンを使えるようにするにはログインしてください。