【再版】食人鬼グレーテル
- 南1-2ホール | B-20 (小説|エンタメ・大衆小説)
- しょくじんきぐれーてる
- 理沙黒
- 書籍|文庫判(A6)
- 172ページ
- 1,500円
- https://kakuyomu.jp/works/117…
- 2021/1/31(日)発行
「カール・マルツゥが食べたいなって思ったんだ。ボクはあのチーズで作るチーズケーキが大好きでね。君はちょうど良い材料だったわけだ。ちょっと面白い作り方を見つけたから、試してみたくもなった。スカフィズムって知ってるかい?」
誰も訪れぬ森の奥。
月夜に浮かび上がるは不気味なお屋敷。
来るもの拒まず、けれど、決して帰しはせぬ。
今宵も、屋敷に訪れた哀れな子羊。
ここに住まうは一人の男。
魔女を食べて人間を食べることしかできなくなった食人鬼グレーテル。
さぁ、今宵、ディナーテーブルに上がるのは?
魔女を焼き殺して食べたグレーテルは屋敷に迷い込んでくる人間をありとあらゆる方法で調理し食べていた。ある日、迷い込んできた少女の頭はカボチャを被っていた。旧友から押し付けられた厄介な少女は、偽善的にグレーテルの所業を糾弾する。 喰うために人を殺すことは悪なのか?
※カクヨム「2018/11/23~2020/7/6」連載に加え、書下ろし「Memento mori.」収録。
※カニバリズム小説です。残酷な描写がございます。腕によりをかけて書かせていただきました。
★祝!再版!★
2025/11/23 文学フリマ東京41にて再版します!
★第Ⅲ夜 Casu marzu 冒頭公開★「カール・マルツゥが食べたいなって思ったんだ。ボクはあのチーズで作るチーズケーキが大好きでね。君はちょうど良い材料だったわけだ。ちょっと面白い作り方を見つけたから、試してみたくもなった。スカフィズムって知ってるかい?」
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楽しそうな声だった。それは悪魔の声。目の前にいる優男は正真正銘の悪魔だった。
何を言ってるのか、遅れて理解をする。
この男は、私を食べるためにここに連れてきて、そして今、私は調理方法を直に聞いているのだ。自分が料理される方法を。
丁寧に優しく。
「まず君をチーズにするために、牛乳と蜂蜜をたくさん飲ませる。吐くくらいたくさん飲ませて内臓がはち切れんばかりに流し込む。牛乳と蜂蜜は時間をかけて発酵して、やがてチーズになる。そして、君の体に蜂蜜をたっぷり塗って牢に入れる。本当は池のボートに置き去りにするのが良いらしいが、ボクの屋敷には池がないし、君の食べ頃を見逃すかもしれない。君の体にはやがて蛆が湧く。それが体を食い破って柔らかくしてくれる。グジュグジュに崩壊するまでにかかる時間は二週間。二週間経つと絶命するらしいが、たまに生きてる者もいるらしい。そうしたら死ぬまで繰り返そう。ボクが考えたスカフィズムによるカール・マルツゥの作り方なんだけどどうだろう。女の人の肌は柔らかくてもろいから、一週間で死ぬかもしれないね。まぁそうなったら、出来上がりが早く済むだけだ。たっぷり苦しんで死んでおくれ」
優しく男は説明する。
「さぁ、ならば早くコトをしようではないか」
私の着ている服に手をかけ、ボタンを外し、ストッキングを脱がし、スカートを脱がし、首輪と手錠をかけ、その食欲と好奇心に眼を爛々と輝かせ……。
私を一糸まとわぬ姿にしてから、こう呟いた。
「やっぱり、食べるには女の子に限るよ。美味しそうな柔肌を見てると、本当にそう思えてくるんだ」
獣のような目をこちらに向けて。
