be close for you
- 南1-2ホール | D-56 (小説|エンタメ・大衆小説)
- びーくろーずふぉーゆー
- 深々深
- 書籍|文庫判(A6)
- 500円
- 2022/11/20(日)発行
- *新刊*
『be open with you』のスピンオフ短編集!
『be close for you』のみで読んでも楽しめるようになっています。
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「ねぇ、リンディ」
唐突に、ルーベンは衝動に従ってリンディの手を取った。
「僕、すぐに手紙書きますから。かならずお返事くださいね」
リンディは強く握られた手を見て、すぐに視線を逸らす。
「あ、ああ」
「絶対ですよ」
「約束する、約束するから手を離せ」
ルーベンは満面の笑みを浮かべて、握った手を上下に何度か振った後、名残惜しそうに手を離した。
リンディは離された手をぎゅっと握りしめて、慌てて丘を降りた。
丘を降りたところでふと振り返ると、ルーベンが微笑みながらこちらを見ていて、慌てて背を向けて走り出す。自分の中の衝動をどうしていいかわからない。リンディは早鐘を打つ心臓を誤魔化すように走った。
「さて、リアム。覗き見は褒められませんね」
「気づいていたのか」
「逆にリンディが気づかなくてびっくりです」
肩をすくめるルーベンの背を、リアムが軽くたたいた。
「お前なら生きてると思ってたけど、まさか獣人族の女の子を懐柔しちまうなんてな。俺より人たらしの才能があるんじゃないか?」
「その人たらしの上官サマは、なんで一人でこんなところにいるんですかね」
「そりゃお前、やさしーい上官サマとしては、吹雪が止んだ夜半から休みなく川の流れを追って駆けてきたのよ。可愛い可愛い部下のために」
「はいはい」
ルーベンは気のない返事をしたが、こういう上官だからこそ、リアムについていくことにしたのだった。
「僕、今まで貴方のために働くつもりだったんですけどね」
「なんだ、裏切りか!?」
「ふふ」
騒ぐリアムを置いて、ルーベンはリンディが駆けて行った方角に目を向ける。