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メロン

  • 南3-4ホール | つ-32 (小説|短編・掌編・ショートショート)
  • めろん
  • 丸尾丸丸
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 88ページ
  • https://x.com/owVff1VbUr10417

  • 君はメロンが大好きなのに、実は、メロンを知らない。....
    なんでなん?


    ~書き出し~

    君はメロンを知らない。

    Q. メロンを見たことはある?
    A. もちろんあるよ

    Q. 食べたこともある?
    A. うん、

    Q. どれくらい食べる?
    A. かなり食べる方やと思うけどね

    Q. 好き?
    A. めっちゃ大好き!

    君は、一般的な成人男性のメロン消費量より、明らかに多くを食べてきた。3歳のとき、いとこのお兄ちゃんに分けてもらって、初めて口にして以来、君はすっかりメロンのとりこ。スーパーでメロンが並んでいれば、母親の服の裾を引っ張り続け、家族で回転寿司に行った際には、忘れた頃に、突然背後から流れてくるメロンをうきうきと待ち望み、友だちが入院したときは、他の誰かがお見舞いしたメロンを発見し、友だちをよそ目にじいっとメロンの方を見つめ、「・・・しょうちゃん食べる?」と言われるまで、ひたすら凝視し続けた。誕生日がくると、ホイップクリ―ムがたっぷりのホールケーキよりも、メロン単体を求め、お父さん・お母さん・お姉さんが1切れずつ食べた、残り3/4弱を丸ごと食べ尽くして、皮以外の、緑の果実部分を完璧に、綺麗に食べることを、自らのメロンマナーとわきまえた。大人になってからも、月に1回、給料日になるとメロンを調達し、食事は腹八分目に留めておいて、嬉々として冷蔵庫からメロンを運び出し、ワンルーム6畳の手狭な部屋の隅で、誰にも邪魔されず熟れた果実にかぶりつく。これを何よりもの生活の至福としていて、おそらく、君の夕張市へのふるさと納税額は、日本全体で上位。古い喫茶店に訪れると、メロンの果汁などまったく入っていないメロンソーダをぐびぐび飲み干し、アイスクリームの入ったクリームソーダは邪道であると一蹴、コンビニにメロンソーダが常備されていないことに、人知れず哀悼の意を表している。友人から、「君は果物は何が好きなん?」と聞かれると、返す刀で「メロン、メロン」と2回答える。

    明らかに、君はメロン愛好者。

    なのに、君はメロンを知らない。

    なんでなん?

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