SNSには「正しい人間の条件」があふれている。貯金、家族仲、健康、返信の速さ、決断力。人生の各段階でチェックボックスを埋め、それができる人と交わることが「よりよく生きること」だと言われているかのようだ。
でも、恋愛はいつも整わない。理性的でいたいのに、いざ誰かを好きになると理性が働かないことがある。近づけば不安が増し、うまくやろうとするとかえって失敗する。恥ずかしくて、みっともない。それでも一緒にいたい。私は、その不合理な感情こそが「愛」だと思っている。
短編集『偏愛』は、そんなどうしようもない気持ちを拭き取らずに残した本だ。読んで何かがすぐ整うわけではない。けれど、条件がそろわないまま誰かを好きになったときに、それでも好きだと認める小さな練習にはなる。もし最後まで読んで何も浮かばなかったとしても大丈夫。この本の最後のページにチェック欄はない。答えがないまま閉じてくれてかまわない。
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【目次】
人魚の彼
瞼
犬と私
【著者】
ふわふわのあかり。東京に住み、横浜で仕方なく賃金労働をしている。勤労感謝の日に誕生。