藤日記
- 南3-4ホール | つ-09〜10 (ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記)
- ふじにっき
- 藤沢あかり
- 書籍|A5
- 22ページ
(「はじめに」より)
ライターという仕事をしている。
だからだろうか、いつも頭の中でなにかを考えたり、想像したり、悩んだりしながら、思い返して味わい直すことが好きだ。頭の中はいつも複雑で、難しいことを考えているというよりも「難しく考えている」のだとも思う。
はたから見ればどうでもいいことを牛のように反芻し、飴玉のように口の中で転がしている。それらはたいてい過去のことで、どうにもならない。ネガティブな意味合いではないと前置きしたうえで、もしこうだったら、なぜああなったのか、そんなふうにして言葉を、景色を、においを、光を、頭のなかで繰り返すのが好きなのだと思う。そうやって記憶は(ときに自分の都合のいいように塗り替えながら)色濃くなっていく。
やがて味わっているうちに、これこそがわたしの「書く」の種なのだと気がついた。ライターだから考えているのではない。この考えすぎる性格があるからこそ、わたしはライターを続けてこれたのかもしれないし、飴玉を転がしていなければ文章は生まれないだろう。
そんなわたしの頭の中を書き留めたものに日付をつけて、日記として販売します。これが日記と呼べるのか。それは自分でもよくわかりません。
