こちらのアイテムは2025/11/23(日)開催・文学フリマ東京41にて入手できます。
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生活と片想い

  • 南3-4ホール | ち-40 (ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記)
  • せいかつとかたおもい
  • 久保みのり
  • 書籍|新書判
  • 94ページ
  • 1,000円
  • 2025/11/23(日)発行
  • 「いまの夫との関係は、私と父の関係でもあった」——夫に裏切られ離婚危機に陥った久保みのりが、再構築後過去を振り返りながら“いつも片想い"な理由を探った短歌エッセイ、今後の夫婦関係シミュレーションその一を描いた小説を収録しました。

    無線綴じ、94p

    以下、本文より。

    「生活と片想い」

    同調も共感も苦手なのに、人と仲良くなりたいと葛藤しながら生きてきた。
    ときに滑稽で、ときにドラマチックに。

    人間関係に疲れるたび、「これは片想いなんだから」と自分に言い聞かせてきた。

    恋愛にたとえれば、一方通行でもいいと思えたし、
    人の期待に応えられないときは「そんなこともある」と逃げることができた。

    片想いは、思い通りにならないこと。
    そこにある執着や自己愛、打算は、自分もまた思い通りにならない存在である証拠だ。

    片想いは、性愛に限らない。
    親子にも、友だちにも、仕事仲間にも、どこにでもある。

    その報われなさは、生活の中にそっとしまわれて、別のかたちで記憶に残る。

    ぼんやりと眺めた通販番組。
    洗濯してしまったレシート。
    涙と一緒に食べるしょっぱくて瑞々しい卵焼き。
    無駄に官能的な柔軟剤の匂い。

    たぶん、生活と片想いは同じ場所にある。
    そして、それらを呼び起こすのは、少し痛くて、だるい作業だ。

    だから、この夏終わらせる。だるい夏にだるいことを、いっそ全部引き受ける。
    どうせ汗をかくのだから、汗が増えるのはどうってことない。
    へばりついた汗をシャワーで流すとき、きっと少し、軽くなれるだろう。

    この夏、『生活と片想い』を書く。

    いびつになってしまった私を両手で包み込み、大切な宝物のように箱にしまいこむ作業として。

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