同調も共感も苦手なのに、人と仲良くなりたいと葛藤しながら生きてきた。
ときに滑稽で、ときにドラマチックに。
人間関係に疲れるたび、「これは片想いなんだから」と自分に言い聞かせてきた。
恋愛にたとえれば、一方通行でもいいと思えたし、
人の期待に応えられないときは「そんなこともある」と逃げることができた。
片想いは、思い通りにならないこと。
そこにある執着や自己愛、打算は、自分もまた思い通りにならない存在である証拠だ。
片想いは、性愛に限らない。
親子にも、友だちにも、仕事仲間にも、どこにでもある。
その報われなさは、生活の中にそっとしまわれて、別のかたちで記憶に残る。
ぼんやりと眺めた通販番組。
洗濯してしまったレシート。
涙と一緒に食べるしょっぱくて瑞々しい卵焼き。
無駄に官能的な柔軟剤の匂い。
たぶん、生活と片想いは同じ場所にある。
そして、それらを呼び起こすのは、少し痛くて、だるい作業だ。
だから、この夏終わらせる。だるい夏にだるいことを、いっそ全部引き受ける。
どうせ汗をかくのだから、汗が増えるのはどうってことない。
へばりついた汗をシャワーで流すとき、きっと少し、軽くなれるだろう。
この夏、『生活と片想い』を書く。
いびつになってしまった私を両手で包み込み、大切な宝物のように箱にしまいこむ作業として。
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