西瓜の日
- 南1-2ホール | T-84 (小説|純文学)
- すいかのひ
- 諸戸 琴環
- 書籍|文庫判(A6)
- 130ページ
- 1,000円
- 2025/9/15(月)発行
西瓜のなかの骨、カスタード、旋律一
裂けた果実から流れ出す、甘く腐った言葉たちの詩集
ずっと、終わったあとみたいな空気が続いている。
まだ何も始まっていないはずなのに、
誰かがいなくなった気配だけが残っている。「西瓜の日」は、その気配だけで立っている。
やわらかいものはすぐ死ぬ。
綿雪、蜜蜂、アイスクリーム、鳩、百合、幽霊。
ぬるい夏が続くたび、冷たいものばかりが増えていく。誰も名前で呼ばれない。
誰も顔を見せない。
でも、どこかに“あなた”がいる。自分の言葉じゃ足りなくて、誰かの歌詞や映画や祈りを引きずってくる。
喉に骨がひっかかったまま話すような詩たち。
あやまり方がわからない人の手紙みたいな詩たち。水の中みたいな文体。
夢の途中で話しかけられるような温度。
笑いそうになる瞬間もあるけど、だいたい泣きそうになる。
でも泣くのはなんか違う。
そういう違和感のまま読み終えることになる。正しさはとっくに置いてきた。
あるのは気配と断片と、うまく割れない西瓜だけ。🍉🍉🍉
意味を排除してあなたのユートピアを濡らす
果汁が手首に滴るー『西瓜の日』より
