秋 あるひ
朝から風が強い日。天気予報を見れば出勤時間以降の風速の予報が7m7m5m5m7mで、はしゃいでいる短歌のようだった。
風がすべてをさらってしまう夢をみた それっきり
というところまで考えて、テレビを消した。
冬 あるひ
あと十五分ほどで閉店するミスドにいるのは一人客が数人だけで、誰もがつかれた顔をして、ドーナツをぼんやりと、どこか遠い夢でも見つめるように眺めていた。なんとなく、みんな自分のために買うのではないかと思った。ドーナツにしか入ってこられない心の穴みたいなものがあって、でもそれは、ほんとうに入ってくるわけじゃなくて、自らも空洞を抱えているドーナツだけが重なってくるのかもしれない。
しばらくは食べずに、ドーナツを松明のように手に持ったまま歩いて帰る。私が諦めた乗り換えのバスが、夜を泳ぐ鯨のように私を追い抜いてゆく。
こちらのブースもいかがですか? (β)