まわる世界
- 南3-4ホール | ち-91 (ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記)
- まわるせかい
- 肩丘 灯
- 書籍|文庫判(A6)
- 280ページ
- 1,300円
- 2025/9/30(火)発行
‥‥本文抜粋
「もーーーつかれたー」がちゃりと鍵をかけ、廊下をあるいていく松井を小走りにおいかけると、澄子はトランクスに手をかけ、一気に下げた。「あぁ!」松井の臀部がぷるるん、とあらわになり、松井は足をとめた。「なにすんのよぉ!」ひゃひゃひゃ~~とわらい両側のおしりのほっぺに手をかけ、開こうとするが、大臀筋が強すぎて、全然開かないのである。 「ねえーいいじゃんーお尻の穴、みしてよぉぉ~ねええーー」松井は大殿筋に力をこめながら「ゆるさないから!」といい「超筋肉つよいんですけど」と澄子は松井のお尻をなでる。「まったく!!!」と言いながら松井はお尻を左右にふるふるふって、澄子をはがし、そのまま全裸であるいていった。「モスはー」「とってきといたからね!やっぱり四十五分でぴったりだね。すみちゃんは遅いから。フィッシュだよね」 ‥‥
‥‥ 「まったく…‥。あのねえ、自分の大事なものを、そんな簡単に明け渡すなよ。」 「‥‥うん。」 澄子はまた、泣いた。とめどなく涙をこぼしながら、でも先ほどより自分が安心していることに気づいていた。澄子は叱られたかったのだ。「空気をよまなかった」とか「怒らせた」とか「飲みすぎた」とか、そういう言葉でなくて、私はこの言葉で叱られたかったのだ。 「守れよちゃんと。絵にしても、絵をかく自分にしても。そんなやつらのために、描くなよ簡単に。逃げればよかったんだよ。うまく。」澄子はぼろぼろ泣きながら、ごめんなさい。と言った。松井に対してではない謝罪だった。
