「もっと距離をとって書いた方がいいんじゃない?」
「はっきり正対して書いた方がいいと思う」
お互いの作品について、そんな言葉を交わしたことがはじまりでした。
もっと近づいて、あるいはもっと遠ざかって書く……なんとなくイメージは伝わるけれど、
でも、それはいったい何を意味するのでしょう。
われわれは小説を書くとき、いったい何と、どのようにして「距離」をとるのでしょう。
小説を書く、そのひとつの技術を磨くため、
この繊細で、あいまいで、多義的な「距離」の正体を見究められないか。
AIによる自然言語処理、ジェラール・ジュネットの「物語論(ナラトロジー)」、語用論とポライトネス理論……
そして、同じように「小説」を志す書き手/読み手との議論を手がかりに、
一年がかりで「距離」を探求します。