ピアノののどかな音を吐き出す空間に、紅音はまどろんでいた。ここは生き物の残りたがる環境だった。つまり、女の子たちはアイドルとしてではなく、生き物として残ろうと、生き残ろうとしていた。
見渡す限りの交差点に風が吹き抜けている。交差点の角から角へ灰色の建造物の合間を幾度縫って辿り着いてもまた交差点。絶え間ない風にも関わらず全てが静止しているのは、孕むものが何一つないからだ。味のしない塊だけがxとyとzの軸を形成している。
ぼくらの大学は、山の上にある。
といっても、ほんとうの大学は、この大学病院から西、もっと高い山の中腹にある。ぼくらの大学は病院で、県の中心地、百年以上前から交易で栄えていたという港町の北にある。
クロスロードには悪魔がいるのだ。ミュージシャンならば皆んな知っている。土埃の舞う辻の真ん中でそいつは獲物をじっと待つ。人の欲望に限りはなく、だからそいつは終わりなき破滅を共にし現れる。こうまれ、悪魔はいかにも美しくある。
朝は毎日スムージーを飲む、とミレイは言う。ミレイの部屋は夜通し付けるエアコンのせいで、きっと冷たい部屋だろうなとクジラは思う。
仕事終わりと思しきサラリーマンや、一人暮らしなのだろう高齢男性に紛れてひっそりと座る。案内された席の椅子は他の椅子と同じようにシートの角が剥がれ、千切れた黄色いスポンジが見えている。壁に貼られた手書きの本日のおすすめを見たけれど、今日も変わらずに鯖みそ定食にした。
巫女のアリサは、王妃と王の列席のもと、集まった臣民たちに厳かに言い渡しました。
「明日が世界の終わりの日になります。皆さん、今日は楽しんでください。必ず城下の民たちにも隈なくしらせるように」
王は目を白黒させ、王妃は驚きすぎて倒れてしまいました。