【掲載作紹介】
短歌
散篠浦昌「明滅が叫ぶ。」
《書き出し》
明滅が叫ぶおまえは生きているだまくらかすから演説を聞け
小説
さいり「アキネイター」
ディキンソンの『A word is dead』という詩をモチーフにした五分程度で読める話です。Pain前島「クソな仕事……そして友情」
テレアポ営業に対応する話です。五分で読めます。タイトル通りです。
《書き出し》
「高橋ですけど、正明さんいる?」
電話口から聞こえてくるその声を細谷は疑った。
「ええっと、御社名をいただいてもよろしいでしょうか」
「いや、高橋って言えば通じるから」
「はあ、少々お待ちください」
散篠浦昌「まばゆく光る、燃える欠片を。」
《書き出し》
「おまえさ、なんでそういう感じなの」
蒸し暑さを流すように水を浴びて、校舎裏の流し場で涼んでいたサッカー部の桐島は、同じく、水に濡れた髪をタオルで拭いていたエースの宮村へ声をかけた。
観月「ポストレプリカント」
美術サークルに所属する2020年代の大学生の等身大、関係、空想、AI、VTuber、多様性、自意識、コンプレックス、女性(アニマ)像などを描いた中編小説。病的。
《書き出し》
「硬い話は抜きにしてさぁ」
インナーカラーの女はカルーアミルクを一度呷ってから、顔色の一つも変えずにそう吐いた。硬いも何も、大学三年生なのだから、最近どうなの? と曖昧に話を振られたら、就職活動の事ぐらいしか真面(まとも)に返せない。
特集「外出」
観月、海、前島「外出のためのプレイリスト」
外出をテーマにプレイリストを作成しました。Spotify, Apple Musicで聴けるQRコード付きです。サークルの色が良く出ています。続くエッセイも外出をテーマにしています。
《書き出し》
外出をテーマに特集を組もう。そんな話が出たのは、この冊子が出る一年前、「文学フリマ東京37」を終えた後の、打ち上げの席でのことだった。それを聞いて、めっちゃ良いと思った。どのくらい良いかと言うと、完全にフリーな状態で打ったスリーポイントシュートが、綺麗に決まったときくらい。そもそもこのdis√jointというサークルは、その名前からなんとなく想像できるかもしれないが、各々ばらばらの方向性をなんとかまとめて(まとまっているかはさておき)一つの形にする、という活動をしている。
エッセイ
散篠浦昌「おまえを絶対文学にする。」
《書き出し》
エッセイを書いて欲しい。テーマは外出。外出自体について、というよりも、どこかにいった思い出とかを書いてくれればいいから。 そう言われて、大抵の人は困らないだろう。「ああ、あの日に行ったあの出来事をかけばいいかな」とか、「最近あったこういうことを書いてみよう」とか、何かしら、思い出の中に存在する場所や時間、そこで起こった気持ちなどを、徒然なるままに書いていけば良いのだろうと、きっと思うことだろう。 けれど、僕はそれを言われてほとほと困り果ててしまった。まず第一 に、僕はほぼ外に出ない。外に出ることと行ったら家の近所で、あるいはどこかに目的が合っていくとしても、まぁ、二駅ほどの移動を電車でするだけだ。
HOTARU前島「二次元聖地巡礼」
《書き出し》
中学三年生の時から、二十六歳のいままで、聖地巡礼を欠かしたことはない。大体十年目。東京都江東区の大島、住吉、木場周辺を、毎年同じルートで歩く。最初に聖地巡礼したときのルートをなんどもなぞっている。大抵は高校の同級生と新年が明けた三が日のうちに行く。時に我慢ができなくなって、一人で行ったりもする。
観月「今日のことを」
《書き出し》
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