閑窓vol.5 道辻を灯す
- 南1-2ホール | W-41 (小説|純文学)
- かんそう
- 大木芙沙子 熾野優 北木鉄 桜田一門 瀬戸千歳 松尾晴 丸屋トンボ 宮月中
- 書籍|文庫判(A6)
- 154ページ
- 700円
- 2022/5/28(土)発行
「架空の商店街、その暮らし」
全8篇収録。
Lineup!!!!
なめらかでつるりとした/瀬戸千歳
やっぱり手がいい、指がことさらにいいと千崎さんからしきりに褒められ、その流れのまま水晶玉を磨くバイトにスカウトされた。八月、サウナでのことである。はじめは、もちろん断った。が、千崎さんもなかなか折れなかった。
今夜全てのゲイバーで/丸屋トンボ
この店のお客さんは雨が苦手だ。金曜日の22時。店をオープンして2時間も経つのに今日はまだお客さんが来ていない。さっきまで頑張って営業をかけていたが反応が悪い。タクちゃんにシュウちゃんにウラタさん。いつも金曜日に飲みに来てくれるお客さんにで知っているひとは大体連絡したのだが、仕事が終わらないとか、会社の飲み会だからとか言われて、体よく断られてしまった。初めて一人で店に立つのだから、誰か来てくれるだろうと思っていた当てが外れた。
小規模な悪/熾野優
他人の幸せを心の底から祝うためには、まず自分自身が幸せでなければならない。手にした抽選券で誰がガラガラを回すかを決めかねている家族を見ながら、私はそう思った。
ふくらはぎ/大木芙沙子
あや子が母の姿について、思いだすのはふくらはぎ。店先や、浴室や、台所に立つ母の、ナイロン製のひざ丈スカートから伸びた脚。むきだしの皮膚にはよく見ると剃り残った体毛がちくちくと生えていて、しかしそんなことではすこしもその威厳を失わないような、立派なふくらはぎだった。
...and more!
写 真:ヒロセミサキ
巻頭画:椎木彩子
挿 画:橋本ライドン
装 幀:瀬戸千歳
