目次
だいこん会社 5
へにゃらぽっちぽー駅 24
老舗 30
美術館 50
化石 63
おいしい地図 71
~試し読みをどうぞ~
へにゃらぽっちぽー駅
へにゃらぽっちぽー兄さんは新幹線から降りました。ここはどこですか。
「駅です」
なんですかそれは。
「のりものがやってくるのです」
「べんりです」
駅では新幹線や特急、いろいろな色やかたちの列車に乗ることができます。地下鉄やモノレール、路面電車、バスやタクシーといった方々もいらっしゃいます。たのしいですね。
「ぽっちぽ! へにゃらぽっちぽー!」
駅とはすばらしいものです。おいしい駅弁を食べながら列車を眺めて、へにゃらぽっちぽー兄さんは感激しております。
駅を作りましょう。せっかくなのでみはらしのよいところがいいなあ。
《へにゃらぽっちぽー駅》
看板をたてれば完成です。
へにゃらぽっちぽー駅は山です。森を抜けておおきな岩に登りますと、広々とした空と遠くの街がみえます。斜面を降りると、水がしぶきを上げている渓流があります。吹きぬける風は、からりとしてきもちのよいものです。
このすばらしい駅へ来ていただきましょう。のりもののひとたちを招待しました。
「線路がないといけません」
おことわりの手紙が届いております。
「滝を登っていくのはちょっと……」
船のひとも来れないようです。
「たいらなところに着陸したいです」
飛行機のひともご都合がよろしくありません。
「ちょっといま、でかけているのでむずかしいですね」
ロケットのひとはけっこう遠くにいます。
「駅は動けないのです」
駅さんにも断られてしまいました。
へにゃらぽっちぽー兄さんが招待状を送りつけたひとたちはだれもやってきません。「ぽぽぽ……」と岩に座ってぼんやりしていると、シカのひとやサルのひとが近づいてきます。リスのひともいます。こんにちは。
この方々はのりものでしょうか。とりあえずシカさんにまたがるへにゃらぽっちぽー兄さんです。よっこらせ。りっぱな角ですね。
「にゃぽ……へにゃぽ……」
へにゃぽちゃんがやってきました。
「にゃぽ……にゃぽ……」
山登りは疲れてしまいます。この駅はすこしアクセスが悪いです。
「ぽっちぽ! ぽっちぽ! へにゃらぽっちぽー!」
へにゃぽちゃんが来てくれてよろこぶへにゃらぽっちぽー兄さんです。どうぞ存分にへにゃらぽっちぽー駅を満喫してください。
「へにゃぽ……」
そういわれてもどうすればよいのでしょう。サルさんやリスさんやウサギさんに乗るわけにもいきません。そしてなぜへにゃらぽっちぽー兄さんはシカさんの角をみがいているのでしょうか。
「にゃぽぽ……、にゃぽ、にゃぽ」
とりあえず景色を眺めることにしました。ふもとの道路がちいさくみえます。ずいぶんと歩いてきたのだなあ。
「ぽ!」
シカさんから降りたへにゃらぽっちぽー兄さんが、なにかをさしだしてきます。
「ぽぽ!」
おおきな葉っぱが折りたたまれています。これを開けばよいのですか。
「ぽっちぽ! ぽっちぽ!」
誇らしげに胸を張っています。
葉っぱのなかには、あしもとに生えていたきのこや、あたまの上から落ちてきた栗が包まれていました。へにゃらぽっちぽー兄さんにはイガが刺さっています。ざんしんなファッションですね。
「ぽぽぽー!」
これは駅弁だそうです。駅に来たひとにお弁当をさしあげて、おもてなしをします。
「へにゃぽ! にゃぽ……にゃぽ……」
ありがとうございます。そのまま食べたらおなかがいたくなりそうですので、ありがたくもちかえることにしました。
青空を背景に、蝶のひとがひらひらと鳥のひとはすいすいと、きもちよさそうに飛んでいます。しかし、へにゃぽちゃんは歩いて帰らないといけません。「へにゃぽ!」と気合を入れて、ふもとに向かいましょう。
「乗っていきませんかー」
上から声がします。
「きもちがいいですよー」
気球がへにゃらぽっちぽー兄さんのあたまに着陸しました。
「へにゃぽ! へにゃぽ!」
兄さんによじ登って乗りこみます。よっこいせ。どうやら帰りはのんびりとできそうです。風に吹かれて下山します。
「ぽぽぽー!」
あたまからぷかぷかと浮かび上がっていく気球さんを、おみおくりするへにゃらぽっちぽー兄さんです。
「ぽっちぽ! ぽっちぽ! へにゃらぽっちぽー!」
気球はのりものです。のりものは駅から出発するのです。へにゃらぽっちぽー兄さんはへにゃらぽっちぽー駅になりました。
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