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ニューヨーク・ネル 男装少女探偵

  • 第二展示場 Fホール | か-29〜30 (評論・研究|ミステリー)
  • にゅーよーく・ねる だんそうしょうじょたんてい
  • ウィーラー
  • 書籍|新書判
  • 152ページ
  • 1,500円
  • 目次
    暴露話もしくは女性探偵   無名氏 少女探偵   無名氏 指名手配犯   チャールズ・ハワード大尉 ずんぐり鼻   無名氏 マダム・デュシーヌのガーデン・パーティ  コルベッ ニューヨーク・ネル 男装少女探偵   エドワード・L・ウィーラー
     本書には、いわゆる推理小説やミステリーから漏れてしまった作品を収録した。ポー、ドイル、そしてクリスティやクイーンといった、文学史に取り上げられるような立派な作品ではなく、一般庶民、労働者や少年少女が読み捨てて顧みられないような物語ばかりである。
     しかし物事というものは多面体であり、反対側に視線を移すことで、今まで見えてこなかったことがらが見えてくる。この推理小説史にしても、創造する側からではなく、受容する側からの視点で見れば、今まで「大家」としてあがめられていた人々も、「ワン・オブ・ゼム」でしかなくなる。読者、すなわち乱歩らの言う「探偵趣味」を持つ一般大衆は、はたしてどうやって彼らの「探偵趣味」を満足させていたのか。そう考えたときに、彼らが食らいつく糧は、立派な装丁の単行本だけではないということに、気がつくはずだ。それは新聞に掲載されている血みどろの挿絵入り報道記事であるかもしれないし、または三文雑誌に掲載された犯罪実話や、読み捨てのダイムノベルのパンフレットであるかもしれない。はたまた落語や講談といった話芸であったかもしれない。そうした泥田のような混沌とした探偵趣味のカタルシスの中から、たまたま咲いた美しい蓮の花が、いわゆる探偵小説の古典傑作ではないだろうか

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