わたしは今、父の時間を止めようとしている。明日の朝もわたしの目がまばたき、わたしの口が凍った息を吸い込み、わたしの指先が白い世界を溶かすように。
雨漏りかと錯覚した。明け方のシンクに、歯ブラシを伝って水滴が滴り落ちていたのだ。
給料明細表に火をつけてちょうど自分の名前まで燃やしたら、ノド飴缶の中に投げ入れてもう、其れきりにした。
薄いレースカーテンの奥でひらひらと優しく踊る四枚の白シャツを眺めながら、言葉が聞き取れる最低ラインの音量に設定したiPhoneのラジオで明日の天気予報を聞いていた。
はじめに無があった。ひょんな拍子で均衡が傾いて、ほとんど爆発と言っていいような突然の膨張が起こった。
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