東京から一番近い郊外、川崎市多摩区。小田急線とJR南武線が交差する街で塾講師をしているイズミと、その生徒でありイズミを性的に欲している一八歳、マチを中心に日常の細かな事件について描く物語。イズミは半年ほど前に同棲をしていた恋人を亡くし、いまだ癒えない傷に気がつかないように生きている。
イズミと同様、なにかを失くしたり失くしそうになっている女性たちと不思議に関わり合っていくうちに、彼女たち二人は成長し、考えを改め、あるいはほんの少し傷ついたりもする。
マチは他者からの願いを「引き受け」ていくイズミを見ながらなにを思うのか。そしてイズミが「失ったもの」への回答を出すことはできるのか。
劇的ではないかもしれないけれど、俗世に生きる人間の物語です。
イズミの勤める塾に以前から通っていた高校三年生チカは、演劇部長と文化祭実行委員を兼任していた。積まれ押しつけられていく仕事に苦心していた彼女に、マチとイズミは次第に手を貸していくことになる。
が、チカにはそれだけでなくほかの問題も迫ってきており……。巻きこまれたふたりは文化祭本番、彼女の学校へ侵入することになるのだった。
シリーズ随一のエンタメ回となった二巻。物語の核心へと至る三巻と同時に刊行。
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