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ミントマイナスマイナス

  • イ-26 (小説|純文学)
  • みんとまいなすまいなす
  • オカワダアキナ
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 146ページ
  • 700円
  • 2021/4/16(金)発行

  • わたしの車から降りてくれ。

     [本文より]
     森でムースの角を拾うと小遣い稼ぎになるらしい。めったに見つかるものではないが、大きいものなら百ドル、いや五百ドルにだってなることもあるというから、男の子たちはムースが大好きだった。使いまわしの注射器で穴ぼこだらけにした腕をセーターとダウンジャケットで覆って雪の中を探し回り、といっても気まぐれな情熱だからすぐ尽きてしまう。目当ての角は見つからず、鼻を赤くしてとぼとぼ帰る。そうしてまたへろへろに酔っ払いながら草入りのクッキーを食う。
     ムースというのはアメリカ人の呼び方で、ヘラジカのことだ。巨大な体の、森の王と呼ばれる鹿だ。歩く姿はピックアップトラックのフルサイズのやつよりも大きいというのだからとんでもない。ほかの鹿たちと同様、角は年に一度生え変わる。冬。だいたいクリスマスを過ぎたころ自然にぼろっと抜け落ち、森の中に打ち捨てられたさまはきっと雪の重みで折れた枝みたいに見える。
     左右に大きく広がった掌上の枝角だ。大きいものでは二メートル近くになり、そんなにでっかいものが一年の間に生えて育って捨てられていく。不思議だ。硬く立派にそそりたち、ところどころ黄ばんだり黒い斑点があったり、いかにも年季が入っていそうに見えてもみな一年草だ。

    試し読みはこちら: https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14856127 

    旧友の古着屋を手伝うことになったレズビアンの話です。団地とか物流倉庫とか。
      




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