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くわしくは第三十二回文学フリマ東京公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

勇者のいない世界で(セット)

  • キ-05 (小説|ライトノベル)
  • ゆうしゃのいないせかいで
  • DA☆
  • 書籍|A5
  • 1,000円
  • http://www1.plala.or.jp/d_sit…
  • 2014/5/5(月)発行
  • 第1部・60P/300円
    第2部・70P/400円
    第3部・84P/400円
    全3部作完結済/セットで1000円(バラで買うより100円引)

    ファンタジー・学園もの長編。
    平凡な少年友納秋緒が出会った奇妙な同級生飛鳥さくらは、異世界に召喚されては悪の限りを尽くす魔王だった! 
    殺せば殺すほど、人知れず現実が改変される「世界のしくみ」。そこで繰り広げられる魔王の戦いに、秋緒は巻き込まれていく……。


    ===【苦悩するチート鑑賞会エントリー(No.15)】=== (本文より抜粋)
     飛鳥さんは手を下ろし、その場で立ち尽くした。
     崩れ落ちた聖堂。燃えさかる炎。そして、倒れ伏した四つの骸。その真ん中で。
     彼女は、天を仰いだ。それから───笑い出した。
     「あたしTUEEEEEEE! うひぃーっゃはっはっはっはっはぁ!」
     火がついたように。笑いやまない。
     「うひ、うひ、ひ、ひぃっひっひっひ、あひゃ、ひゃ、ひ、ひ、くひひひひひひ、ひ」
     ひとしきり笑い終えた後、飛鳥さんはふっと黙り込んでうなだれて、それから、傍らですべてを見ていた僕のもとに戻ってきた。髪も制服も朱に染まり、血が地に滴る、近寄りがたい姿だった。
     「これが魔王の仕事だよ」表情を固めたまま、彼女はぼそりと言った。「さ、帰ろう」
     ……魔王ではない普通の人間として、この顛末を見届けた僕は、どんな感想を漏らせばいいんだろう。
    (中略)
     「飛鳥さん」
     「まだ、何かあるのか」
     煩わしそうに答える、飛鳥さんに。
     僕は尋ねた。「痛くないの?」
     「……はぁ?」やや間があった後、飛鳥さんは頓狂な声をあげた。「あたしは魔王だって言ってるだろ。か弱い女じゃないんだ。鉄の皮膚を持つ邪悪な魔王だぞ」
     「でも、傷つけられれば痛いんでしょ?」
     「…………」
     飛鳥さんは虚を突かれた様子だった。目を丸く見開いて、口を半開きにして、一時呆然としていた。なぜそんな質問がなされるのか、本当に理解できないようだった。
     ───やがて飛鳥さんは、きっと顔を上げ、金切り声で叫んだ。
     「傷つけられようが、痛かろうが! こうして最後に勝って、立って、それが魔王なんだよ! あたしのこの魔王の誇りは誰も砕けない。傷や痛みを嘆くのは、きっとあたしが倒されたときだけだ。けどあたしを、あたしという魔王を倒せる者などどこにもいないんだ!」
     「現実世界に戻っても? 現実には魔法や超能力はないんでしょう?」
     「現実ならなおさらさ。魔法や超能力がないから、確かに魔王のあたしでも、ろくに悪意を振るえないただの女子高生に過ぎない。けど、倒そうっていう勇者も現れやしないのさ。必要ないんだ、現実は魂を迎え入れるだけで、誰が死んでも魂の移動は起きない。魔王が暴れても、勇者と戦っても、世界が変わることはないんだから」  飛鳥さんは、投げ捨てるように言った。
     「それでも、あたしは魔王だよ。勇者がいなくてもそれは変わらない。永遠に、変わらないんだ」
     きまり悪そうに、目をそらしながら。
     「……もう、いいだろ。今日は少し疲れた。帰るよ」
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