【あらすじ】
動物好きのシャーディーンは、優しく逞しい兄リディウスに憧れ成長する。やがて思春期を迎える頃、兄の半裸を見て性器に異変を覚えて、兄によって射精経験を迎える。
これは恋なのだろうか──。そんな時、次兄の策略により皇帝のもとに差し出されそうになり──?
・弟に耐えがたい恋情を抱くが自制する
義兄×兄に焦がれる
弟。
・多数の資料を参考にした、【本格
帝政ローマ調小説】(R18)
・おまけペーパー付き。
-------------------------------------
【サンプル】
兄が好きだ。それはまぎれもない現実だ。
ここ数日、兄の姿を探していた。兄にもう会えないと知った時、胸が張り裂けそうだった。
すべて打ち明けて、なんとかそばにいられることになった。
だが明日にでもミウスに見つかり、皇帝の親衛隊に入れと言われるかもしれない。それなら、その前にリディウスと記念になるようなことがしたい。
窓のそばで粗末な椅子に腰掛けるリディウスに近寄り、袖を引っ張る。
兄は少し面倒くさそうに、でも優しく
「なんだ?」と笑ってくれた。
「兄さま、もっとそばに来て……」
「さっきも言っただろう。お前になにかしてしまいそうになる。こうやって離れていれば、なにもできない。安心しろ。お前をすべてのものから守ってやる」
口角を上げ、無理に笑顔を作ろうとするリディウスを見て、心臓をぎゅっと掴まれた気がした。
兄のものになりたい。
今すぐ、兄のものにしてほしくなってしまった。
「あの、兄さま……。兄さまが嫌じゃなかったら、なんだけど」
「なんだ。もったいつけるな」
ギイ、と椅子のきしむ音がする。
「兄さまとほんとうの、恋人同士になりたい。心だけじゃなくって、その、体も……」
そこまで言って、ハッとなる。リディウスがかっと目を見開いて、静止していた。
顔が火照る。なんてことを言ってしまったんだろう。きっとリディウスはあきれている。こんなに破廉恥なお願いをするなんて、いやらしい子だと思われてしまう。
「い、今のは……」
リディウスが自分を見損なったと思うと、まともに顔を見られない。必死で床に視線を落とし、続く言い訳を考えた時だった。
「私が我慢していると分かって言っているのだな? ……もう、いやだと言っても聞いてやれないぞ」
リディウスの手が自分を掴む。机の上に灯された小さなランプの光に、抱きしめられたシャーディーンと兄の影がひとつになって長く伸びていた。
【長めのお試し読みはこちら(pixiv)に置いてます。】