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【委託】イリエの情景 〜被災地さんぽめぐり〜3

  • Fホール(2F) | ウ-13 (小説|青春・学園)
  • いりえのじょうけいひさいちさんぽめぐり3
  • 今田ずんばあらず
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 316ページ
  • 1,500円
  • https://goo.gl/L3PuK5

  • 私たちの旅は、当分終わりそうにない


    御崎依利江二十歳。
    石巻から始まった東北を巡る旅は、南三陸町、気仙沼、陸前高田、遠野、釜石と続き仙台で親友と向き合うことになる。 そして女川で親友と再会する。
    一生に一度しかない二十歳の夏の旅は親友と出会うための旅になった。 1年間でシリーズ500部を頒布した今田ずんばあらずの被災地青春ロードムービーの完結編!

    ◆サークル主ひじりあやのレビュー

    被災地青春ロードムービーと銘打ったシリーズの最終巻です。
    ロードムービーというとおり、遠野、釜石、仙台、女川、名取と様々な場所を訪れるのですが、最重要な場所は表紙にも描かれている女川です。女川はこの『イリエの情景』という物語で、ふたつの意味で特別な町になっています。

     女川は東日本大震災で大きな被害を受けた町のひとつです。
    『イリエの情景』の本編では大きく触れていませんが、女川駅周辺は真新しい駅舎に新しい商店街ができているものの、しばらく歩くと津波の爪跡や復興途上である光景が広がっています。作者である今田ずんばあらずさんは、あとがきで解説しているのですが、女川という町は元に戻るという復旧は最低限にとどめ、「新しい女川に生まれ変わる」という選択をしているのだそうです。これはおそらく、震災後に実際に女川へ訪れたひとであれば誰もが頷くことでしょう。
    この「新しい女川に生まれ変わる」ということが、イリエの本編に大きく影響しています。女川で依利江は中学時代の親友と再会します。仲違いをし、名前すら忘れていたかつての親友に、依利江は「会いたかった」と言われます。2人の仲が元に戻ることはありません。もし戻ったら、それはまた悲劇の繰りかえしになります。依利江と彼女は元に戻るのではなく、女川の町がそうであるように、新しい関係を築いていくことになるのです。2人の関係と女川を重ねて描いているのです。

    もうひとつの意味は鉄道の話です。 女川駅は石巻線の終着駅になります。多くの駅はたとえ終着の駅であったとしても、どこかの駅につながっているのですが、女川駅よりも先に駅はありません。文字通り終わりの駅なのです。終わりの駅ということは、つまりは始まりの駅でもあります。 依利江と三ツ葉の旅は続きますが、依利江の物語はいったん女川で終わりを迎えます。けれどそれは新しい旅のはじまりを意味していますす。はじまりとおしまいはつながってめぐるものですが、その象徴の町として女川が選ばれているのです。

    最後にもうひとつ。 3巻の表紙に、今田ずんばあらずさんは1つの仕掛けをしています。3巻を読み終えた後、ぜひ表紙を見直してください。そこには本編には描かれていない物語があるはずです。

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