こちらのアイテムは2017/11/23(木)開催・第二十五回文学フリマ東京にて入手できます。
くわしくは第二十五回文学フリマ東京公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

ぼくと狐と我が愛娘

  • B-56 (小説|エンタメ・大衆小説)→配置図(eventmesh)
  • ぼく と きつね と わがまなむすめ
  • 郁菱万
  • 書籍|新書判
  • 108ページ
  • 0円
  • 2017/11/23(木)発行
  • ==愛などたかが知れている==

    「ぼく」は理想の家族を夢見ていた。愛する妻がいて、仕事から帰ると三人の娘たちがパパーと出迎えてくれる、そんなどこにでもありそうな、けれど滅多にお目にかかれない理想の家族を。現実は無情だ。なぜか「ぼく」をパパと呼ぶのは、モフモフしっぽの生えたキツネ耳童女で、ホントのところを言うと、そいつは「ぼく」をパパ呼ばわりどころか、「おっとー」となんとも味気ない呼び名で、困ったことばかりを報告する。妻はどうしたという声には、「ぼく」のほうこそそれを知りたいと応じよう。教えてくれ。「ぼく」にそのコを押しつけて消えたあの女(ひと)は、いったい誰で、どこにいるのかと。

    まえがき。
    古典の多くは普遍的な愛を描いているそうだ。ふうん。そうなんだ。へぇ。いくひしはくちびるをとんがらす。納得しねぇよ? まず以って、普遍的な愛ってなんですの。変わらぬ愛なぞ存在するの? 皆無なの? 半減期が見当たらないの、未搭載なの、ってふうん、古今東西It's Show Timeかよって、かってにパーティはじめてんじゃにゃーよっつって地団太踏みたくなる三秒前ですけれども、思えば、変わらぬのは愛そのものなんてものでなく、「理想の愛」の「理想」のところなのかもしれなくて、言ってしまえば、いつどの時代においてもみなが求める都合のよい関係性を、普遍的な愛、なんてたいそうなお題目で語ってしまっているだけではないのかなーなんて解釈したくなる愛に飢えているケモノ、いくひしまんですよ、ケモノはケモノらしく、野蛮に、古典の作者の頭のなかをハイジャックしてみたところで、あべこべに脳味噌焼かれて介錯たのもーって縋ってしまうのがオチかもなーと想像してみるわけですよ、愛がほしいわけですよ、お金で買えない愛がほしい、できるだけ劇的で刺激的で対価なしの、無償の愛がほしいわけですよ、なんて騒々しいわけですよ、分けてほしい、みなが助けあいに、掬いあい、支えあいに、騙しあい、たくさんのアイにまみれたこの世界でなにゆえいくひしには愛が足りんのかなーなんて疑問に思っちゃいましちゃって、しばし待て、ならばちょっくら奪ってみっかと、奮起したって三日も経たぬ間にボウズでしょ、なんも釣れんでボウズでしょ、ポーズ決めりゃいいってもんじゃありませんし、暇さえあればインスタ載せて、いいねの嵐できもちいい、そんな現代にも理想の愛なんてあるのかなー、なんて思っちゃって、みなが求めているのは無償で称賛くれる他人じゃないの、そうでしょ、そうなの、うんざりよ、それって要は奴隷でしょ、理想の愛が、無償の愛なら、それって奴隷よりも奴隷でしょ、命じなくともかってに、躍起に、愛をそそいで、「私」のために動いてくれる、そんなの奴隷よりもほしいでしょ、そんなもんが理想かなー、しばし考え、理想だなー、AIよりもそれほしい、奴隷よりも奴隷らしく、いくひしのために働いてって、そうした愛を求めた時点でそこには愛はないのだなー、なんて急にさびしくなっちゃった。愛に飢えちゃいるけどさ、ホントに欲しいとねだるのは、愛なんて便利な道具じゃなくってさ、奴隷みたいな関係性でも、神さんみたいな上座でも、じぶんを着飾るあれやこれでもなくってさ、じゃあなんなのかと問われると言葉に詰まるよ、だってそうでしょ、わからんもん。ただ一つ言えるのは、いくひし、愛なんてこれっぽっちもほしくない。愛をモット、なんて求めなきゃならん世のなか、おなか、家のなか、たとえ火のなか水のなか、なんでもいいけど、キツネ耳のかわいらしさに比べりゃ、どんな愛もちんけでしょ、とはいえたぬきのあんよのトコトコ具合もなかなかどうしてかわいいぞ、普遍的な愛もいいけれど、ケモノに溢れるキュートなしぐさも忘れずに。そういうものこそ語り継いでいきたいぜ。愛ってそのていどのことかもしれないね。忘れたい、或いは、忘れ――られたくない。だいじだけれど、大仰にあがめ、たてまつるほどのものじゃーない。愛なぞたかが知れている。されど欲するのが人の業かもしれないね。説教臭くなってきたところで、今回のまえがきといたしましょうか。2013年ごろにつくった郁菱万のケモノ作「ぼくと狐と我が愛娘」、童女にケモ耳、ブタにポン酢、しゃぶしゃぶしたくなった方からどうぞご賞味ごらんあれ。

    ※こちらにて全文無料公開中!https://kakuyomu.jp/works/1177354054881060864


ログインしませんか?

「気になる!」ボタンをクリックすると気になる出店者を記録できます。
「気になる!」ボタンを使えるようにするにはログインしてください。

同じ出店者のアイテムもどうぞ

EN-D.CONSTRUCTIONそらたかくおちるきみへファンシィ・ニストマジックミラーミナゴ◇シンドロームもののけだものけものみち千物語「黒」千物語「白」千物語「青」千物語「赤」千物語「黄」千物語「緑」群れなさぬ蟻群れなさぬ蟻「裏」ぼくの内部をじかになぞって。外骨格の目〜伝統子芥子は電灯を消し〜ぼくと狐と我が愛娘暗黒舞踏団〜踊り屋たちと囮か愛〜異世界の蛇口〜神殺し魔起き〜改悪∞日本昔話改悪∞今昔物語改悪∞異類婚姻譚局部怪奇譚〜人造乙女は心臓を止め〜網膜の住人〜仮想世界に魔法をねがい〜血と義と花のモノガタリこの女、神。私は性器が好きなだけ〜人工名器に凜と銘じ〜息の根にうるおいを。陰の薄いあのコの影になれたなら

「気になる!」集計データをもとに表示しています。