凡夫の営み、脱力したメランコリーをまとめた短編集、全9編。
サワガニにかんしては騙された。「甲羅の中にすきとおった羽がしまわれていて、ぱかっと開いて飛ぶんだよ」——父がおれについたささやかな嘘のこと。ありえないとは思いつつ、なぜか、そうかもしれないなあと納得もした……。
日常を半歩くらいはみだして、こころやからだが通いあった(あるいはちぎれた)時間のこと。一編が4000字程度、それぞれ独立した物語です。サゲでとぼけるようなお話が多いのは、何かを言い切るのがこわいからかもしれない。
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・試し読みはこちらにまとめています。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882692998
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アンソロやweb企画におじゃましたものと、書き下ろしが1作。発表済みのものも、こまごまとした直しを入れております。
また、書き下ろし作「ひととおりの憂鬱」というタイトルは、twitterの「フォロワーをイメージした同人誌のタイトルを考える」というタグで、季刊ヘキ・#ヘキライ主催の比恋乃さん(@hikonorgel)からいただいたものです。おそらく、そんな雰囲気をまとっている作品群なのだと思います。