「ほんとうの愛とか情熱とかを傾けられるものがあったら、こうはなっていなかった。どうしてこうなった? きっと、心臓が右で、まちがったデザインで生まれてきてしまったからだ」
生方里奈、旧姓片瀬里奈、結婚してもしなくてもあだ名はカタリナ。聖カタリナはキリストと婚約し殉教した女の名で、この大層なあだ名はこれまた祈りの名を持つ親友・三角霧枝━━キリエから与えられたものだった。 キリエに本当の恋をすることができたら、どんなによかったろう。抱き合ってなお、身体は遠い。
ツタヤならコメディ棚に置かれるであろう30女のだめな日々です。自分以外みんなバカに見える、こっそりそんな思いを抱えてしまうひとに。
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〈あらすじ〉
東京都23区に白鳥が襲来した夏。心臓を右側にもつ主婦・生方里奈(あだ名はカタリナ)は子どもも仕事もなく、30歳にしてまるで老後のような日々。留守がちで浮気者の夫をやりすごし自分もまた弟と関係していた。ある晩、ライブハウスで再会した旧友キリエと、ままごと的に暮らすことになる。彼女に向ける感情がほんとうの恋であったらよかった。そこへ白いおとこが加わり〝晩年〟は奇妙な方向へ転がっていく。もの言わぬ同居人、身長180cmの骨格模型━━。
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試し読みはこちらです(冒頭、途中):
http://necotoco.com/nyanc/amabun/guide/bookview.php?bookid=191
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