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観隙録

  • C-03 (小説|ホラー・怪奇)
  • かんげきろく
  • 新田圭
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 342ページ
  • 2,000円
  • 2026/7/20(月)発行
  • 世の中には、おかしなことが時々起こる。起こるらしい。
    私には霊感がない。幽霊の実在を信じないし、たとえば金縛りに付随するとされるおかしな現象の大半は、睡眠麻痺とそれに伴う入眠時幻覚発作、ということで説明がつくと考えている。少なくとも私はそう思う。
     ただ、金縛りと幻覚それ自体には説明をつけることができても、その幻覚がたとえば、近所にある「神社」の笹垣と一致していたなら?
    体験者は引っ越してきたばかりで、笹垣どころか、そこに神社があることすらまだ知らなかったのに、金縛りの中で見た草むらの影が、翌朝通った近所の神社の、鳥居の足元にある笹垣にそっくりだった、なんてことがあったなら?

    リアリストにも信心はある。神社の笹垣、と言われるとどうしても、そこに何か啓示めいたものがあるのではないだろうか、と思わされてしまう。
     しかしこれは、旅先で人々から集めた実話怪談のひとつである。そういうことを体験した普通の人たちの、日常生活のほんの一部に過ぎない。彼は確かにその神社との縁を感じたのかもしれないが、しかしそこへお参りのために通うようになったりはしなかったから、これは「金縛りの中で変わったものを見た話」以上にはなりえず、あったかもしれない意味を私が回収することはできないのである。

    本書ではこのような、「日常生活の中に脈絡なく出現した怪異」にまつわる証言を多く扱っている。霊感がなくとも、信心がなくとも、生活の隙間にぽかんと浮かび上がるようにして、おかしなことはたびたび起こる。
     本書はそういったものに遭遇した人々による証言を、小説仕立てに書き起こして記録したものである。

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