街を歩いていると、ときどき目を奪われる光景に出会う。
室外機の上に取りつけられた、お手製の屋根。
曲がり角にある、黄色く塗られた奇妙な石。
道路の隅に、なぜかずらりと並べられたペットボトル。
なくても困らない気がする。
もっと簡単なやり方があった気もする。
でも、誰かがわざわざそうした。
身の回りに気になることがあれば、考えて、工夫して、手を動かす。
そうしてできた数々の作品が、街のいたる所で展示されているのだ。
……
本書では、そんな街の中にある名もなき工夫やこだわりを、「合わせる」「隠す」「並べる」「守る」「妨げる」「こしらえる」の6つに分けて紹介します。
つくった本人は、それを「作品」だとは思っていないはずです。
それでもそこには、その人なりの事情や考え方、ちょっとした美意識が残っています。
街は、誰かの「わざわざ」でできている。
合わせる
その場所に収まるように、曲げる。避ける。形を変える。
隠す
見せたくないものを、覆う。塗る。なじませる。
並べる
ひとつでは足りない。並べることで、そこに秩序が生まれる。
守る
雨や風、衝撃から守るために、囲う。覆う。直す。
妨げる
入ってほしくない。停めてほしくない。置いてほしくない。小さな意思表示。
こしらえる
既製品ではどうにもならないなら、自分でつくる。