文芸部ことのはがお送りする文芸誌「文芸コトノハ」第3号です。文学フリマにて初公開となります。今回は総勢11名の部員が作品を寄せました!書下ろし9編、再録・加筆改稿2編が収録されています。ページ数もことのは史上最多の180ページとなりました。
ボリュームたっぷりの本作、ぜひ手に取っていただければ幸いです。
ー収録作品ー <書き下ろし> 電車の先頭車両に乗り込めば、私はアナゴの片目になれました。電車に乗らなくても、魚になれたら? 暗い寝室の瞼の裏に見たマンションの15階の廊下は、まるで対岸のない、真っ黒な夜の海辺のようだったから、街に限りなく水を注いで、真っ白で優しい日なたのプールサイドにしてしまいました。
私は、人から見た私と自分から見た私がまるで別人のように思うことがあります。不安や劣等感、自己嫌悪に囚われていると、自分まで歪んで見えてしまうからかもしれません。そんな時に人と話すと、嬉しい驚きがあります。見えてなかった自分に出会えます。この物語も、誰かにとってそんな出会いの一つになれたら嬉しいです。
生きていれば死後の世界に焦がれ、死ぬ間際には走馬灯の先の未来を見てみたかったと思うことがあります。死の瞬間に一際強い生を感じたこの主人公のように、あなたも風を感じてみませんか。ってお勧めすると何かの法に引っかかる気もするのでやめておきます。
選言一命(センゲンカズノリ)と申します。今回は短くあっさり読めるようにと意識して書きました。オチでくだららねーやと笑って欲しい。時流の中を惰性で生きて、柵まみれで、思い出したように蝶を追う。その先が奈落でも。このモラトリアムは緩やかな死までのカウントダウンに他ならない。
明るい物語が好きな箏々です。マンモスが現代に復活するかもしれない、という記事を前見かけました。化石にDNAが残っていたんだとか。実現性は定かではありませんが、どこかワクワクしますね。もし自分が蘇生されたら、今度はどこに行き、誰と会い、何を書くのでしょう。
さながらどあのぶです。花言葉って誰が考えたんでしょうね。ロマンチックなものとして扱われがちですが、ただそこに在るだけの花に勝手に意味が添えられることに、どこか寂しさも感じてしまいます。今回は花をテーマにして書きました。タイトルを検索したらちょっと楽しいかもです。
万物の創造主たる神や、自らは不動の動者にして、なお被造物に創造の業を委ねるは何故ぞ.我らの創りし知性は我らを知らず、また我らも我らの創造主を知らず.されど、我らの形而上もまた、更なる形而の裡にあるやもしれぬ.嗚呼、我らは何処に在る.
鰆の天竺です。永劫列車は構想だけでは今の倍ぐらいあるのですが、あまりの筆の遅さに3部目で一旦提出することになりました。大量のメタファーを詰め込んだ趣味だけの作品なので読みにくくても許してねん!
絵やアニメーションが無ければ、音楽も環境音も無い。小説とは難しいものです。この作品は、自分が元々ゲームとして構想していたものを、何とか短編小説の形に落とし込めないかと試みたものです。都市の人々の生活など、描写したかったことが他色々ありました。いつか構想の枠を超えて、日の目を見る時が来るでしょうか。
<再録・加筆改稿> 作中舞台は架空の世界のため星座も全て架空ですが、現実の星座に神話と関連するものが多くあるように、作中の星座にも神話から来ているものがあったら面白そうだなと思います。戦士座は、オリオン座みたいに戦士の名前にしてもよかったかも。(白鷺祭2024『宇宙』より再録)
- 『チョコレートタイムマシンは二人乗り』/てまえの細道
パティシエを夢見る美月は、バレンタイン当日のループに囚われる。幼なじみの蒼太へ渡すチョコを何度も作り直すうち、完璧を求める彼女の舌から味が消えていく。二人が不恰好な一粒に見つける、甘くほろ苦い青春タイムループ。止まった時間の先へ進むため、彼女が本当に届けるべきものとは。(2026年SNS企画『バレンタイン』初出、加筆改稿)