五百年前、悪しき神によって世界の半分が焼かれ、飛び散った力が動物たちを魔獣に変えた世界。
竜の父と神子の母の間に生まれた竜神エイリスは、幼いころ大罪を犯し、神の国から人間世界に堕とされた。
そして魔獣が蔓延る霊山で孤独に暮らしながら、やってきた人間たちの大切なものと引き換えに、願いを叶える力を与えていた。
そんなある日、裏切り者への復讐を糧に霊山に登って来た一人の男、デアグラフと出会う。
トンデモナイものを捧げられ、彼の願いを叶える力を不本意ながらも与えたが、エイリスに惚れ、彼女が抱く孤独を知ったデアグラフは、大切なものを捧げて得た力を復讐ではなく、霊山から出られない竜神の解放に使う。
自由を得、デアグラフとともに旅に出たエイリスは、旅の途中、≪魔獣渡り≫と呼ばれる魔獣の大移動や、それらからオーレリアン辺境伯領を守ってきた騎士団長≪辺境の守り人≫が罪を犯し、追放された話を聞く。
そして己の罪――魔獣が人を殺す光景を、初めて目の当たりにするのだった。
過去の大罪と孤独を抱く竜神と、裏切りによって全てを奪われた男が、罪と過去に向き合い、やがて世界を少し変える物語。
※電子書籍を紙書籍にしたものです。