眠れない男と、眠り続ける男は、映画館で出会った。
七十年の歴史を持つミニシアター「白燈館」でアルバイトをする大学生・朝永冬朗(ともながふゆろう)は、劇場のマスコット制作を依頼したことをきっかけに、ぬいぐるみ作家・夜野田律(よのだりつ)と知り合う。
映画好きという共通点から少しずつ距離を縮めるふたり。しかし律は、数ヶ月に一度数週間眠り続けてしまうクライネ・レビン症候群という過眠症を抱えていた。
眠る恋人を支えたい。
その想いは、いつしか朝永自身の救いにもなっていく。
けれども「誰かに必要とされたい」という朝永も悪夢障害という不眠症を抱えていた。病を通して最悪の形で噛み合ったふたり。「病気が治ったら、自分には価値がなくなるのではないか」という律の不安は、穏やかな日常の中で少しずつ形を変え、やがて二人の関係を揺るがしていく。
優しさは、本当に愛なのか。
それとも、必要とされたいという願いなのか。
映画を観て、ふたりで過ごし、眠れない夜を越えながら、ふたりは「支える側」と「支えられる側」という関係を少しずつ手放していく。
愛されることを信じられなかった不器用なふたりが、「一緒に生きる」という答えへ辿り着く一年間の物語。
世話焼き年下敬語攻×可愛らしいけれども芯が強い受。ほのぼのとした中に仄暗さがあるR−18BL小説。救済系ハピエンです。