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山雅海宮伝

  • ち-05 (小説|ライトノベル)
  • やまがかいくうでん
  • ミライダ
  • 書籍|A5
  • 55ページ
  • 500円
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    『山雅海宮伝』


    〜プロローグ〜
     
     これは山雅族(やまがぞく)と海宮(かいくう)​に​纏わる話だ。
     山雅族は、ここら一帯の山の支配者だ。
     この山雅族の宮殿では、族王と族王妃。
     唯一の族王女、瑪堵露(めとろ)と、第一族王子の道矢。最後に第二族王子の優也。

     ここは山雅族(やまがぞく)の宮殿だ。
     山雅族の宮殿は広大な山で、世界で一番力のある山だ。
     すべての山の管理は毎日欠かさずしています。山務(さんむ)はいつも簡単には終えず追われている。
    【山務(さんむ)】とは、山すべての手入れをすることをそう呼ぶ。たとえば、崖崩れしそうなところがないか、落石がないかなどの確認。事故がないように整備を行ったり、今後どうすべきか話し合ったりする仕事である。
     そんな中、山雅族の族王の息子、第二族王子である優也にとてつもない山力(さんりき)があることが分かった。
    【山力(さんりき)】とは、いろんな山々と交信し、急を要する山の傷んだところがどこなのか分かる。現地に行くのに時間は少しかかるが、すぐに治療しに行く山のお医者さん的な力である。
     おそらく第二族王子の優也は、一族の中でもっとも偉大で強い、開山力(かいさんりき)の持ち主である。
    【開山力(かいさんりき)】とは、いろんな山々と交信し、急を要する山の傷んだかしょがどこなのかも分かり、すぐに現地へとワープができる。治療も山力とは桁外れと言っていいほど、とてつもない勢いで、あらゆるところを治せる力なのだ。
     開山力には他の効能もあると聞いたことがあるが、なんなのかいまだ謎のままーー。
     しかしながら第二族王子の優也は、山務を一生懸命やろうとするが、いつもコントロールできず上手くいかないのだ。秘めた力があるというのに、制御できず自信をなくしてしまう第二族王子の優也。第一族王子である道矢に任せてしまう。
     次第に、第二族王子の優也には、雑用しか与えられなくなっていく。
     山務を第一族王子の道矢ばかりに任せられてしまうことに不満が募り始めた。
     ​元はというと、第二族王子の優也の力不足ゆえ、仕方がないのだが。

     ある晩のこと、第一族王子の道矢と第二王子の優也の姉である族王女の瑪堵露(めとろ)が山務を終えて帰ってきた。家ではなく、力かを使った一族が疲れを癒すための宮殿にまず帰ってきた。

    ※※※

     ある晩、山務を終えて帰ってくる途中、族王女の瑪堵露(めとろ)に、子供を連れた男女が話しかけてきた。
     その瞬間、族王女の後ろの木々が不自然に動き、相手には見えていないが弓を構えている族王女の付き人達がいた。
     族王女は、とっさに後ろ手で静止させていた。
    「山雅族の宮殿へ行きたいのですが?」
    「どう言った要件でしょうか?」
     族王女が問い返す。
    「族王様と族王妃様に、重要なお話があるから、取り次いで欲しいのです」
    「わたしは族王女なので、安心して任せてくさい」
    「申し訳ありません。要件は直接伝えたいので、貴女様にはお伝え出来ません……」
     と女は尋常じゃない怯え方をして言う。
     族王女は、男女の様子がおかしいと思う。本来なら宮殿に帰る時は、名乗ってはいけないのだが。
    「わたしは山雅族の族王女です。なににそんなに怯えているのですか? 安心して、事情をお話してくださいませんか?」
    「あなたは、族王女様なのですか?」
    「はいそうです」
    「本当に、族王女様なのですか? 本当に?」
     と気が動転している様子の男は同じことを何度も聞いた。
     山雅族である梟の紋章のネックレスを見せる。
    ​「​これで、族王女と信じますか?」
     男はハッと息を飲む。
    「族王女様、温かい心遣いには感謝いたしますが、やはり、要件は申し上げられません……」
    「そうですか。仕方ありませんね……」
    「すい、すいません……」
     ペコペコと男は頭を下げ、女も下げた。
    「族王女様、この金の木札を族王様か族王妃様に渡してもらえませんか?」
     と、女は重い口を開き、この世界でたった一つしかない、金色に塗ってある四角い木札を差し出した。
    「これはなんですか?」
    「僕達が誰なのかが分かる証でございます。族王女様」
    (金の四角い木札を渡せば誰なのか分かる……?)
     族王女は心の中で疑問に思うのだった。
    「これは族王様と私達だけにしか分からない暗号になってます。きっと私達の意を汲んでいただけます」
     母親は覚悟を決めた眼差しでいます。
    「分かりました。事態を把握できず、残念ではありますが、ちゃんと族王と族王妃の所に送り届けますので、ご安心を」
    「ありがとうございます……。このご恩は一生忘れません」
     男女は涙ながらに礼をした。

    これを機に、力が制御できない優也に転機が起きる。


     続きは本編にて……

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