こちらのアイテムは2026/9/13(日)開催・文学フリマ大阪14にて入手できます。
くわしくは文学フリマ大阪14公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

幽霊列車の夜

  • て-13 (小説|短編・掌編・ショートショート)
  • ゆうれいれっしゃのよる
  • 月這山中
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 158ページ
  • 1,000円
  • https://kakuyomu.jp/works/168…
  • 2025/10/10(金)発行

  •  死者を乗せる幽霊列車。車掌であるヤマグチツトムは彷徨える死者を、ときどきは生者を乗せて走る。
     彼ら彼女らは自身の存在すらあやふやで、過去すら正しく覚えていられないが、ヤマグチ自身も陸軍に所属していた己の過去はあまり思い出したくないので、それくらいがちょうどいい。
     彼ら彼女らは妙なものに執着するが、ヤマグチも霊体でありながら食事だけはやめられないので、それくらいがちょうどいい。
     ヤマグチは自分の上司だった霊に白紙の報告書を渡す。上司だった霊はヤマグチの本当の名前を憶えていない。ヤマグチはかつて生きていた頃、線路が爆発して列車ごと転がったことを思い出す。戦争を続けようという者たちによる企みだった。上司を恨み、殺し合った頃を思い出す。しかしその恨みも遠い過去だ。思い出す必要はない。
     ヤマグチは死者や生者と、ときどき人間を祟り殺す悪霊と話しながら、列車を運行させる。過去は思い出したくないが、過去から培った己の言葉は口から出せる。
     今夜も幽霊列車は死者を乗せて夜空を走る。
    「ということで、当列車の車掌を務めさせていただいています。ヤマグチです。各お客様を紹介して欲しいとのことですので、不肖ながら。
     ある夜:車両に生者の方が紛れ込んでいたらしいです。
     死因を探す女:記憶を都合よく変えてしまうことってありますよね。そうしたお客様でした。
     夏に憑かれた男:殺し屋をやっている、という生者の方でした。自分から問題をややこしくしているのに気付いていないようでした。
     消えていく記憶:生者の方でした。あの駅は、たまに見にいっています。
     視線の高い小学生:生者の方。悩み事があったようなのでお話をさせていただきました。
     腕を捜す死刑囚:お客様です。忘れ物には十分ご注意ください。
     見えない男:お客様です。降りる駅が見つからないとか。最近、こういった方も増えていますね。
     食料危機の車掌:私です。あの時は正気を失っていました。
     死を食らう天使:死別恋愛ケータイ小説を書き続けているという、奇特な趣味をお持ちの方です。たまに乗ってくるんですけど、あの世には行きたがらないので困っています。
     呪い:戦争に従事していた、かつての私と上司です。
     路上の神様:困った方です。信仰が尽きない状態での乗車はご遠慮させていただいています。
     疲れたアイドル:お客様です。夢を追い続けるのはいいことです。
     執着する男:生者の方です。おでん缶、ありがとうございました。
     無理心中の片割れ:お客様です。よほど大事な人だったんでしょうね。
     気付いた探偵:お客様です。なかなか見つけてくれないので苦労しました。
    本日はご乗車いただきありがとうございました。まもなく、終点です」

ログインしませんか?

「気になる!」ボタンをクリックすると気になる出店者を記録できます。
「気になる!」ボタンを使えるようにするにはログインしてください。