<サンプル>
地方にあるストリップ劇場で、四年間、投光スタッフとして働いていた。
ストリップとは、女性の踊り子さんが音楽に合わせて衣装を脱ぎ、最後には裸になって踊る、昭和から続く大衆芸能である。
そして〝投光〟とは、業界用語で照明を指す言葉だが、実際には、音響操作や場内アナウンス、受付のもぎり、楽屋の掃除など、裏方業務のほとんどを担っていた。
劇場で過ごした日々は、大きなトラブルや特別な出来事に満ちていたわけではない。むしろ、何気ないエピソードのほうが鮮明に思い出される。
淡々と、粛々と、当たり前に鼓動を続ける劇場で勤務した四年間は、私の人生を豊かなものへと変えていった。
裸の女性にスポットライトを当てる、ストリップ劇場。
ここに綴るのは、そんな特別な場所で積み重ねられた、私にとっての日常の記録である。
(本文より抜粋)